【アプレゲールですいません。】新しい人がF1に来るためには
僕は日本GPや国内のレースで日本のサーキットに行く時は、誰か若くてやる気のある人はいないかなぁという目線でメディアセンターやパドックにいる人たちを見ています。F1の世界に新しい人が来て欲しいからです。
今、F1をレギュラーベースで追いかけているライターは3人しかいません。カメラマンは2人です。僕以外の全員がアラフィフかそれ以上の人ばかりです。
その中でもグランプリによっては来ない人もいて、厳密に言えば全戦取材しているのはライター2人、カメラマン1人だけです。僕もその中の1人ですが、メディアを取り巻く状況は厳しくなってきていますから、その全戦取材している人数だってあと数年もすればさらに減って、何年後かには日本人メディアが誰もいないなんていうこともあり得ると思います。
経済的にも、昔はどこかの媒体が経費を全て出してくれたり、メーカーお抱えでなんていう話もあったようですが、そんな話はこの10年でとんと聞かなくなりました。ですので、前述のレギュラー陣は自分のお金で経費を掛けて取材に行っています。今経費を出してもらっているのはフジテレビの川井一仁さんくらいですが、それだって現地に行けるのは年間7戦だけ。逆に言えば、どこかに経費を出してもらうということは、その大元が要らないと言えば現地に行けなくなるということなのです。
そんなこんなで、レギュラーベースでF1の現場で取材をする人間というのはもう絶滅危惧種です。
F1Gateやらなにやらで無料で速く情報が手に入る時代だから、ある程度の淘汰は仕方がないことかもしれません。
しかし、そういったコピペで垂れ流す無料のウェブメディアが本当に信頼に足るのかといえば、実際に現地で取材している者の知識や経験から言えば、決してそんなことはありません。というか、間違っていることも多々あります。自分たちで責任を持って取材も発信もしていない以上、メディアとは呼べないと思います。コピペである以上、彼らが伝えたくても伝えられないこともあります。それを取材するために、僕らは現場に行っているんです。
F1に限らず日本国内のサーキットに行く時はいつも、若くてやる気のあるメディアの人はいないかなぁと期待して行くんだけど、今回も。。。F1のレギュラー陣3人はアラ還、アラフィフ、アラフォーのおっさんしかおりませんので、早く誰か来てくれないと。。。(*´Д`) #f1jp pic.twitter.com/dZBnSNNi6K
— Mineoki YONEYA (@m_yoneya) 2018年10月12日
そんな思いも込めてTwitterで「誰かいないのか」と呟いたら、どうすればF1の世界に行けるのか教えて欲しいというような声もありました。
これには考え方が2つあって、ウイリアムズの白幡さんのようにヨーロッパのF1やF3などで働けるようできる限りの手助けはしてあげようというタイプと、ハースの小松さんのように「誰かに教えてもらわなきゃ来られないような人は、F1に来てもマトモに仕事できません」と突き放すタイプ。
僕は、どちらも正解だと思います。ただ、メディアに関しては小松さん式の考え方の方が正しいような気がします。
確かにF1は遠くてよく分からない世界かもしれません。しかし、メディアというのはいろんな人から情報を引っ張り出して事実を紐解くのが仕事です。時には、語りたくない人に語りたくないことを語らせ、事実に迫らなければならないこともあります。どこにあるのか分からない事実を手繰り寄せるのが仕事です。そのために、いろんな人と繋がって、信頼関係を築いていかなければなりません。
ですから、F1に行く方法というひとつの情報をTwitterで誰かに聞いて教えてもらおうという人は、そもそもメディアの仕事なんて無理なのかもしれません。ある意味、いろんな人にアプローチして「F1に行く方法」という事実を取材して手に入れるというのが入学試験のようなものなのかもしれません。
とはいえ、そういって突き放していると永久に新しい人が現われないような気もします。僕がF1現場に初めて行ったのが2003年、そしてレギュラーで取材し始めてから10年。消えていった人はいても、新しい人は現われていないんですから。
もちろん、やる気だけでも若いだけでもダメです。F1現場で仕事をするなら英語ができなきゃ意味がないし、取材する能力、書く能力も必要です。年間何百万円という経費が掛かるだけに、お金をきちんと管理できるビジネス的な能力も必要です。F1メディアというものが漠然としすぎていて、そういうことがイメージしづらくなっているかもしれません。
日本のレースメディア自体が苦しい中で若手を育てるという意識に欠けていたことも事実だと思います。そういう意味では、僕は良い環境でいろんなことを学ばせてもらえて、そのベースがあるからこそ今でもこうしてこの世界で仕事ができているのだと思いますし、そのことにはとても感謝しています。
そろそろ、こういったことを体系立てて伝えていく必要があるのかも知れないなと思っています。
(text and photo by 米家 峰起)
弟子入りしてノウハウ盗む、もありでしょうか。ひょっとして現地直送便の「TARO」さんは、お弟子さん?でしょうか。
TAROさんは弟子ではないです、ワタクシ自身が弟子に教えるような人間ではないので(苦笑)。
でも確かにある程度のテクニックやノウハウは誰かから学ぶというか、基準になるメンターのような存在がいた方が良いのかもしれませんね。
F1のメディアの仕事をするといっても、漠然としすぎていてイメージが難しいでしょうし。
私のF1LIFE購読のきっかけは、「ホンダ苦戦の原因、状況が知りたい!」でした。詳しい状況が解らず、Webニュースや雑誌、各種掲示板で「漏れ伝わってくる情報」を元に「本当にホンダだけが問題なのか」を想像するだけでした。そんな中で偶然F1LIFEを知り、もっと早く購読すればよかったと思っております。
偏らず取材できる新人が増えればいいですね。今後とも取材頑張ってください。