【アプレゲールですいません。】福岡でX JAPANとお味噌汁屋さん
完全にワタクシゴトですが、X JAPANのコンサートで福岡にやってきました。福岡には仕事の関係者もいるのでたまに来ているんですが、食べ物は美味しいし、良いところですね。僕は大阪の公演に続いて福岡のコンサートにも参加したんですが、24年ぶり(!)という福岡の盛り上がり方はなかなかスゴかったです。
ただし、今日書こうと思ったのはそのことではなく、お味噌汁屋さんのことです。
お肉、海の幸、ラーメンなどなどいろんな美味しいものがある福岡なのに、どうして味噌汁? と思われるかもしれませんが、これが特別なお味噌汁屋さんなんです。
といっても、外観はごく普通の居酒屋。というか、ものすご〜く細い路地にあって、まぁ普通は一見さんは立ち寄らないようなお店です。僕も地元の友人が一緒じゃなかったら行けなかったと思います。
ガラガラッと扉を引いて中に入ってみると、カウンターだけの小さなお店。でも小ぎれいな佇まいです。地元のお客さんが何組か入れ替わり立ち替わりいらっしゃって、カウンターに横並びなのでちょいちょい言葉を交わしたりなんかして。マスターももの静かなんだけど時々喋ってみたり。もの静かな息子さんといっしょに経営されています。
お味噌汁屋さんですが、お味噌汁はシメ。それ以外にマスターが仕入れてきたその日の食材を使ったその日限りのメニューが並んでいて、優しい家庭料理といった感じでどれもこれも美味しい。カンパチのお刺身は間違いがないし、サツマイモの天麩羅はサツマイモらしい皮の旨味がちょうど良いサクサク具合で味わえるし、焼き茄子も火を入れすぎておらず果肉がしっかりしていて、薄味の出汁ともまた合います。
肝心のお味噌汁も、具材がいろいろ用意されていてその中から選ぶんですが、丁寧に出汁が取られていて、非常に美味しゅうございました。僕がたのんだのはタマネギとうずらの卵のお味噌汁でしたが、タマネギと玉子の何とも言えない甘みがたまりませんでした。
メニューに値段が書かれていないのでビビリますが、お腹いっぱい食べても1人3000円程度で、全然お高くない値段でした。
で、なぜこのお味噌汁屋さんなのかというと、僕が好きでよく読んでいる濱嘉之さんという作家さんの警察もの小説に出てくる“中洲の味噌汁屋”というのがあって、主人公の公安警察官がヤクザの大物と出逢い絆を深めていく舞台になっているんですが、そのモデルになったのがそこじゃないかと。というか、「中洲にお味噌汁屋さんなんて趣深いものがあるの?」と尋ねたら友人がそこに連れて行ってくれて、実際に行ってみたらやはりそうだった、と。まさに小説に描かれている通りのお店でした。
濱さんの小説は出すたびにヒットしているようですが、この話はまだ有名になっていないようです。なので、おおっぴらに書いていいものなのか迷いますが、ひとまず文字上ではお店の名前は伏せて、写真だけ。ベースも弾くマスターが田口さんなのでこの屋号なんだそうです。
ミシュラン一つ星、とかいっても疑わないかもしれないくらい、お味も佇まいもなかなか素敵なお店でした。この良さはフランス人の審査員には分からないかもしれませんけどね(苦笑)。僕的には福岡での行きつけのお店になりそうです。
(text and photo by 米家 峰起)
濱嘉之さん、私もよく読んでいます。中洲の味噌汁屋さん、本当にあったのですね。今度、福岡に行く時にぜひうかがってみたいと思います。
はい、ぜひ行ってみてください。イメージしていたよりもさらに小さいんですが、とても雰囲気の良いお店です。