【アプレゲールですいません。】マクラーレンのひどい仕打ち
マクラーレンとホンダの間がギスギスしている……と、ファンの皆さんもお気づきになっていると思います。というか、マクラーレン側からホンダに対する厳しめのコメントがどんどん記事になっているような状況です。
「我々はレッドブルとルノーのようなことはしたくない」なんて言っていたのに、完全にそうなっちゃってます。ただし、マクラーレンが巧妙なのは、自分たちが真っ向ケンカを仕掛けるのではなく、メディアにホンダを批判させるように仕向けているところです。
ハッキリいって、ホンダのパワーユニットもベストではないでしょうが、マクラーレンの車体も不振の原因のひとつです。全然ダウンフォースがなくて曲がらないし、ジェンソンなんてタイヤに熱を入れるのに苦労しっぱなしです。それって、せっかく出力を犠牲にしてでもパワーユニットをコンパクトにしたのに、優先したはずの空力が機能していないということなんです。
なのにマクラーレンはそれを棚に上げて、ホンダのパワーユニットがダメダメで不振の元凶は全てホンダにある、くらいの勢いで喋ってそういう先入観を作り上げるよう仕向けています。実際、イギリスを初めとしたメディアもファンも、そういう目で物事を見てしまっています。
日本のファンの人たちは「そんなこと、どこにも書かれていないじゃないか」「それこそ嘘なんじゃないか?」と思われるかもしれませんが、ネット上に流布している無料の記事は全て海外発信のネタをパクっただけのものですし、きちんとホンダに取材したものは皆無です。
逆に、日本人ジャーナリストや日本メディアが取材したものは、ネットでパクった記事とは違って対価が支払われているわけですから、基本的に雑誌や新聞、有料メディアにしか出ません。ですから、数の割合で言うとそういう記事は圧倒的に少ないし、無料のネット記事しか読まない人の目にはパクリ記事しか映らないという、残念な状況に陥っています。そのせいで、数が多い方が真実だと思い込んでしまっている人もいるでしょう。
無料のパクリ記事の中には、真偽がアヤシイものもたくさんあります。本当にその人がそうコメントしたのかどうか根拠が乏しかったり、実際に聞いたわけじゃない人が書いていたり翻訳していたりするせいで全く違うニュアンスに歪められていたり。こないだのブリエの「新井さんには毎日、いや1日に2回、時差ボケの時は3回言っている」という発言だって、この部分はジョークで言ったんです。それも記者の「1日にたったの1回だけ?」というジョークに乗っかって悪のりして言っただけのものです。だけど文字面にすると、かなり辛辣で深刻に見えてしまいます。
マクラーレンとホンダを巡る状況については、スポルティーバさんの記事に書かせて頂きました(http://sportiva.shueisha.co.jp/clm/motorsports/2015/07/09/f1gp_15/)。これを読んで頂けると、ネット上に出回っている情報や新井さんのコメントとは全く違うことがわかると思います。実際、ドライバーたちはクルマの挙動には不満を訴えてもホンダを批難するようなことは言っていませんしね。どうか、きちんと取材したものを読んで頂いて、公平な視点で判断して頂きたいと思います。
(text and photo by 米家 峰起)
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