【アプレゲールですいません。】情けなくなったマスコミ様の記事
なんか、前にも似たようなことを書いた気もするんですが、大切なことだと思うのでもう一度書きたいと思います。
Yahoo!ニュースにこんな記事が上がっていました。「ラブホ宿泊の記者も安堵!? 韓国GPの復活が事実上消滅/F1」(http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20141229-00000511-sanspo-moto)。サンケイスポーツの記事です。
いや〜、ツッコミどころの多い記事です。まず、そもそも韓国GPなんて契約上の理由から前回発表のカレンダーに盛り込まれただけで、最初から“事実上”開催なんてなかったわけです。というか、主催者はやる気なかったし。今さらこれだけの文字数を割いて伝えるような事実じゃないと思います。
で、問題はその後です。
2010年の初開催時の話など、いかに韓国GPが酷いかという、ずいぶんと“盛った”話が書き連ねてあります。
ラブホに宿泊するのは事実ですが、韓国のラブホはそもそも普通に宿泊することを前提として作られていますし、それはシンガポールも同じです。きっと、世の中の人たちにはさぞかし華やかで美しいというイメージを持たれているであろうシンガポールですが、それは1泊2万円以上出せる人に限られた話であって、実際の現実的な宿泊環境は韓国GPよりもよっぽど酷いものです。値段は3倍で広さは1/3、しかも汚いときているんですから。
盲目的に韓国GPを悪く書く記事ばかりを追いかけている人々には分からないかもしれませんが、実際に行ってみるとヨンアムには何もなくても僕らの宿泊値である木浦には食べるところもたくさんあるし、地元の人たちも素朴で親切な人ばかりでした。個人的には韓国GPより酷いグランプリなんて他にいくらでもあると思うし、実際に「来年復活するなら歓迎だよね」という関係者も多いですよ。
つまり、報道されていることと、僕が自分で実際に現地に行って見てきた事実との間には大きな開きがあったんです。
というか、そもそも韓国GPに一度でも取材に来たことのある日本人って、せいぜい10人程度しかいません。少なくとも僕が知っている限り、サンケイスポーツの記者なんて取材に来ていません。つまり、前出のこの記事は自分で取材もせずに書かれたシロモノなわけです。
F1専門メディアなんて“マス”コミュニケーションと言えるほどの規模もありませんが、いわゆるマスコミと呼べるような全国紙で、こういうことって許されるんでしょうか? F1の記事だから僕は報道内容と事実が全然違うことに気付いたけど、ひょっとしたらそれ以外の記事も……? なんて思っちゃいますよね。
きっと韓国のことをボロクソに書いた方が読者ウケが良いし売上やアクセス数も稼げるんでしょうが、“読者が知りたいこと”を伝えるのではなくて“読者が喜ぶようなこと”を書くのは、読者の期待に応えているのではなく読者におもねっているだけであって、報道機関としての責務を果たしていることにはならないのではないでしょうか? というか、先日も同じことを書きましたが、自分で取材もせずに書くなんていうことがまかり通っているなんて、本当に情けないです。
僕も個人的にはバリバリの愛国者なので韓国政府のやり方は嫌いだし、ネット上で“典型的韓国人”とされている韓国人像は大嫌いです。でもメディアがこんな状態だと、本当にそれが事実なのかな?と疑問に思うところもあります。少なくとも、韓国GPについては、世の中で報道されているのとは全く違った光景がそこにはあった、というのが僕の見てきた事実です。
『F1LIFE』を呼んでくださっている読者の方々、つまりリアルな情報を望んでおられる方々には、そのことはお伝えしておきたいな、と思って今回の筆を執りました。
大人の事情なんてカンケイないっすよ、アプレゲールだもん(笑)。
(text and photo by 米家 峰起)
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