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REGULAR【連載】

世界中から注目が集まったのに、プルシエールだけな理由

 

 完全にスーパーフォーミュラLIFEなブログになりつつあるような気がしますが(苦笑)、SFネタは他に書くところがないのでここで書きたいと思います。

 

 昨年の一時期「海外から注目!」と盛り上がっていたスーパーフォーミュラですが、結局2024年に参戦が決まった外国人ドライバーはテオ・プルシエールだけでした。まぁ、岩佐歩夢はレッドブル枠なので“外人枠”と言えなくないし、Juju選手も自動車メーカーの枠外という意味ではいわゆる“外人枠”ですが、それでも3人。あとはTGMとスリーボンドの計2席がどうなるかのみ。

 

 注目はされたけど、お買い上げはされなかったということです。

 

 これはたまたまそうなってしまったわけではなくて、はっきりとした理由があり、なるべくしてなった結果です。

 

 その理由というのは、「高い」から。

 

 端的に言えば、従来のスーパーフォーミュラは5000万〜7000万円程度の持ち込み資金で乗ることができ、ヨーロッパに比べれば格安でした(実際にはレース数や走行距離を考えるとコスパは大して変わらないのですが、トータルの金額は安かった)。F2なら3億円、F3なら1億円、FRなら7500万円と言われた時代です。

 

 が、スーパーフォーミュラのシートを狙って交渉しているというF2パドック周りの人たちから聞こえてくるオファーの金額は、その倍でした。思わず「いや、そりゃぼったくりすぎでしょ! 誰が抜いてんだよ!」と言ってしまいましたが、どうやらそこには裏があったようです。

 

 リアム・ローソンの活躍もあり、スーパーフォーミュラに対する海外からの注目度が高まっているのは事実でした。実際に複数のチームに対して海外のドライバーからの問い合わせがあったのも事実。

 

 その状況を見たスーパーフォーミュラのチーム側が、どうやら口裏を合わせて本来よりもかなり高い金額を提示していたようなのです。ある種の談合のような状態です。

 

 確かに昨今の円安でダラーラから購入するパーツ代は高くなっていると思いますし、その分だけ従来よりも参戦費用が高くなるのは分かります。が、それなら大きく見積もっても円安分の2割増し程度なはずです。実際の参戦費用のうちエンジン代や燃料代、タイヤ代、人件費などは日本円なのだから、そんなに高くはならないはずですが。

 

 その結果、この値段ではまとまるものもまとまらず(そりゃ金額は安くてもコスパとしてはヨーロッパのレースに比べて格段に悪くなるわけですから)、中には談合を破ってディスカウントするチームもあったようですが、時すでに遅し。

 

 もちろん、あくまで聞いた話ですし、全てのチームがどんな金額を提示していたのかまで裏は取れていません。ですが、これが本当だったとしたら、スーパーフォーミュラは自らチャンスを潰してしまったことになるし(もちろん無駄に安売りする必要はないんですが、元の値段だから注目されたのだということが分かっていなかった)、すごく残念だなと。

 

 Juju選手が参戦して注目は集まるし、お客さんも増えるでしょう。でも、レースの本質的な部分では何も変わりません(すみません、でも本人とTGMさんがそう仰っているので、少なくとも1年目はそうでしょう)。注目が高まり、今まで見たことがなかった人が見るからこそ、ハイレベルな戦いが繰り広げられていて欲しいなと思います。

 

 F2を卒業して行き場所がない世界トップレベルの若手ドライバーが多数参戦してハイレベルな戦いが繰り広げられて、真のレースの部分でカテゴリーとしての価値を上げた方が、スーパーフォーミュラの将来のためには良かったのではないかと思います。

 

 努力した結果そうならなかったなら仕方ないですが、むしろ逆の理由でそうならなかったというのが非常に残念です。

 

(text by 米家 峰起 / photo by Red Bull)

 

 

 

 

 

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