【UTSU】アルボン解説とともに歩くハンガロリンク
『F1LIFE』のインターンシップUTSUこと正木聖がドイツGPで取材したレポートをお届けします。まだまだ至らぬ点も多々ありますが、1人でも多くの方に読んで頂き、叱咤激励の声を頂ければと思います。
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前半戦最後のレースとなるハンガリーGPが開かれるハンガロリンクは前戦のホッケンハイムリンクとは異なり、コーナーのバリエーションが多く、次々に迫り来るコンビネーションにいかに対応できるかがポイントとなる。今回はアレクサンダー・アルボンが語った内容も踏まえてコースのポイントを紹介しよう。
まず注目すべきはドイツでも幾度とタイムを抹消されることがあったトラックリミットだ(冒頭写真)。今回のハンガロリンクでもトラックリミットへの対策として、ターン5の出口の外側にオレンジ色のソーセージ縁石が新たに追加されている。この縁石はプラスチックでできているものだが、高さが50mmとあるため、一度フロアを擦るとチームはマシンへのダメージが心配になるだろう。
またアルボンによると、去年はコース内にセンサーが埋め込まれており、これでトラックリミットの監視がされていたということだが、今回はこのような対策がされているかは分からないという。しかし、ドイツGPで厳しく取られていたこともあり注意が必要になると語っていた。
一方でソーセージ縁石が置かれておらず、クルマがトラックリミットを越えそうなコーナーもいくつかあった。ターン1、3、4、9、11、12、14がそれに該当し、実に7つものコーナーがあった。ここにはグラベル等はなくコースを外れたところは、白く表面がザラザラした摩擦係数が高そうな路面が敷かれていただけだ。
だがトラックリミットに対して何の対策もされていないわけではない。上に示すターン12での写真が示すように、これらのコーナーのアウト側には人工芝が敷かれていたり、外側に段差が大きい縁石を通常のものと並んで設置したりしている。とはいえクルマが直進状態に入ればほとんどロスなく進むことも可能だと考えられるので、今回もレースコントロールがどのようにトラックリミットを解釈するのかが今週末の戦いに左右される可能性もあるだろう。
そして近年のハンガロリンクは、昔までのモナコのような低速サーキットというイメージはなくなり、近年のハイダウンフォース仕様となったクルマによってコーナリングスピードも増し、平均スピードでは時速200kmを越えている。当然速さが増すことにより、コーナリング時の横Gや、クルマの旋回能力も問われることになり、ドライバーへの負担は増えているだろう。
コースを歩いた木曜日でも路面温度が50度に達するような暑いコンディションであった。その中でドライバーは次から次へと来るコーナーへのアプローチをしなければならず、集中力が求められるだろう。そのためコーナーが連続するセクター2でのコーナーリングが攻略の鍵となる。
「ただ一つのコーナーというよりは、コンプレックスコーナーが重要だ。ここは次から次へとコーナーがくるので、最初からミスをしてしまうとその先の3、4のコーナーに影響してしまうんだ。だから特にセクター2が重要になる」とアルボンは語っており、直線があるセクター1、3よりも重視されるポイントのようだ。
実際にその区間を歩いてみると、上のターン8から9にかけての写真で示すように直角に近いコーナーが連続しており、息もつく暇がないようなところがある。また、この区間のコース幅は他よりも狭く、大きなランオフエリアもないため、少しでも芝生にタイヤを落とせばその先のラップに影響を及ぼすことが伺える。
ハンガロリンクは連続したコーナーが続くので、そのコンビネーションに合わせるようにクルマをリズムよく動かせるようなセットアップが必要だ。各チームもハイダウンフォース仕様の空力パーツを持ち込んで準備を進めている光景も見られた。明日からのフリー走行では、カーバランスとトラックリミットを含めた限界点を探りにいくドライバーやチームの様子に注目だ。
(text and photo by Takashi MASAKI)
楽しく読ませてもらっています。
ただもう少したくさん写真があれば、もっと良いかなと思います。
UTSUさん、応援してます。
そうですね、ちょっと写真が寂しかったですよね。
各コーナーの写真は撮っていたのですが、今回話題にしたトラックリミットやセクター2に焦点を絞っていたので、写真が少なめになりました。 でもコースの紹介をするなら写真主体で一つ一つ説明するような流れでもよかったかもしれないですね。