RACE【レース】

20140403-21

 2014年のGP2シーズン開幕を目前に控え、伊沢拓也に今の心境を聞いた。日本でのレース経験豊富な彼の目を通して見たGP2マシンの印象、ライバルたちとの比較、そして来年以降へ向けて自分が背負っているものについての思いを語ってもらった。

 

 

 

ーー開幕に向けての6日間のテストはどうでしたか?

 

「正直言うとまだ全然準備がしっかりできたという感じではないんですけど、それでも6日間走ったんで、そこで得たものを自分の中で整理を付けて今回に臨んでます。このシリーズは甘いことは言ってられないんで、自分の持てる力を全部出す準備はしてきてます。あとはそれどこまで出せるかですね。まぁ、いろいろ思う所はあっても、全ては結果を出さなきゃ意味がないですからね。僕自身も内容なんてどうでも良くて、結果さえ出せればっていうのが正直な気分です」

 

 

 

ーー周りのライバルと比較してみてどう?

 

「実際に走ってみて、チームメイトとか周りと比べてみて、全然戦えないレースではないなと思ったんです。日本の方がレベルが高いなと思った部分もあったし。あとは自分がタイヤに上手くなれていなくて、そこさえ上手く行けばというところですね。そんなこと言ってもみんな同じものを使ってるんで(苦笑)、そこで自分が何を思おうと、結局は結果しかないんですよね」

 

 

 

ーーテストで苦労したというのはやはりピレリタイヤ?

 

「もう、タイヤ以外の何ものでもないですね。変な話、このクルマに今まで日本で使っていたタイヤを付ければ、絶対負けないと思いますよ。でも、そんなことを言ってみてもしょうがないですからね。この特殊なクルマに慣れないといけませんね」

 

 

 

ーーその特殊さというのはタイヤのせい?

 

「だと思うんですけどね。空力は僕にはまだ分かんないんですけど、乗ってる感覚は今年のダラーラのスーパーフォーミュラとは違って、今までのスイフトに近い感覚でもあるんですけど、そこから先はタイヤの特性のせいだと思うんですけど特殊な感覚なんですね。意外とクルマの動きが重たいというか鈍い。全然クイックな感じがしないんですね。それがタイヤのせいなのかクルマのせいなのかまでは分からないんですけど。

 

 

 

 エンジンもすごくピックアップが悪くて走りづらいし(苦笑)。4リッターV8でそこそこトルク感はあるんですけど、そのトルクが全然来なくて、そのへんも見越して走らなきゃいけないし。今日本で走っているターボスーパーフォーミュラのクルマよりもターボっぽいですね」

 

 

 

ーーこのクルマのクセに合わせられるかどうかの勝負なんだ?

 

「今までフォーミュラカーでクセがスイフトのスーパーフォーミュラくらいだったけど、あれだってエンジンもタイヤもちゃんとしてたから……。こんなにクセのあるクルマに乗ったことない、っていうのが正直なところなんですよ」

 

 

 

ーーF1に近い特性のクルマだと言われているけど……?

 

「多分、タイヤがいっしょなだけで、クルマの特性がどうかと言ったらそうじゃない気がしますね。まぁ僕はF1には乗ったことがないから何とも言えませんけどね」

 

 

 

ーー反応が鈍いというのは、タイヤがグニャグニャするせい?

 

「そうですね、ウエットタイヤを履いてるみたいな感覚。最初はホイールナットがちゃんと締まってないのかなって思ったくらいです。それと、フロントタイヤが弱いんですよね。自分の感覚で飛び込んでいくとだいたい曲がりきれなくて、そこをピンポイントでグリップの限界点を探しながら走らなきゃいけないんです。そうやって自分を抑えながら丸々1周走ってなきゃいけないのがもどかしい(苦笑)。

 

 

 

 ロングランだけじゃなくてニュータイヤの時もそうなんですよ。タイヤの温度が上がるような行動をしちゃいけないっていうイメージなんです。飛び込んで無理にステアリングを切ればフロントが負けてそのままズズ〜ッといっちゃうし。ロングランなんか始めたら、本当に自分の中でびっくりするくらいゆっくり走らないと、すぐにタイヤがダメになっちゃうんです。本当に5〜6割っていう感じ。なんとなくタイヤが良い状態だからちょっとプッシュしてみようかなんて思ったら、ちょっとした気の緩みで全てを失いかねないんです。壊れるわけじゃないんだけど、あるところを超えるともう回復しないんですよね。そうなると滑るから余計に回復しづらくて。それはフロントよりもリアの方が厳しいですね」

 

 

 

ーーロングランで気をつけなければいけないのはリア?

 

「こことかアブダビはブレーキングが多いんで、フロントタイヤをいたわることの方が大切みたいですね。高速コーナーが多いほうがリアがキツくなるみたいですね。バーレーンのようなサーキットでは、気をつけるのは速いコーナーでリアを滑らさずに走って、立ち上がりも全開にできるんだけどしないでゆっくり立ち上がっていく、っていうことなんです。小さいコーナーはそこそこブレーキングも頑張らなきゃいけないですけどね」

 

 

20140403-24

 

 

ーー日本のレースの方が優っていると感じた部分というのは?

 

「言いづらいですけどね(苦笑)、こっちの悪いところになっちゃうから。クルマの仕上げなんかでも、日本のスーパーフォーミュラとかだともうちょっといじれるモノがあるんですよね、ダンパーを変えたりとか。日本の方がもうちょっとワンメイクの幅が広いんですよね。それに、クルマ自体を見ても日本の方が綺麗でしょ?(笑) スイフトだって4〜5年使ってももっと綺麗でしたよ」

 

 

 

ーーチームメイト(ストフェル・ファンドルネ)と比べて、どう感じた?

 

「彼は速いドライバーだと思うけど、正直言って、僕が知ってる日本の速いドライバーと比べても何か特別なものが。だから敵わない相手じゃないと思ってます。ロガーのデータを見てこれスゲェなってっていうようなのはないし、速さ的に戦えない相手では絶対ないと思いますね。ただそれを今は自分にできないことがあって負けているだけなので、それがもどかしいですね。リザルトとして実際に出せないのが悔しいです」

 

 

 

ーー日本の速いドライバーっていうのは?

 

「日本で今まで戦ってきた相手で言うと、(塚越)広大とか小暮(卓史)さん、あと一緒に組んでたロイック(・デュバル)とか、あの辺はやっぱりスゲェなって思う所がいっぱいあって、それを追いかけて自分もできるようになったりしたんで」

 

 

 

ーーまだできない部分というのは?

 

「負けるところって本当にいくつかのコーナーだけなんですよ。でもそれがすごく大きくて。単純な高速コーナーだったら負けないんです。ただこのバーレーンのターン11のように、フロントタイヤをちょっと使わなきゃいけないようなところになると途端に上手く走れないんです。その先のターン12とかだと負けないんですけどね」

 

 

 

ーー何が違うんだろう?

 

「分かんない。それが分かれば僕もすぐに対応できるんだけど(笑)」

 

 

 

ーーターン11って、中速で曲がっていくようなコーナーだよね?

 

「そう、そこそこのスピードで曲がり込んでいくんですけど、あるポイントに来ると急に(グリップが)抜けちゃうんです。本当に速いコーナーだったら単純に踏んで(ダウンフォースで)曲がっていくだけなんですけど、ターン11はブレーキングが絡んで、ブレーキングしながら入っていって、ちょっとフロントに頼りながら曲がっていくような感じなんですけど、そこがなんとなくタイミングが合わなくて。そういうコーナーがアブダビでもいくつかあるんです、ターン1とか。その先の2〜3は負けないんです。ダウンフォースを使って曲がっていくようなところは良いんですけど、中途半端なところが難しいんですよね」(1/2に続く)

 

 

 

(text and photo by 米家 峰起)

 

 


Related Articles

Comment

  • トラックバックは利用できません。
  • コメント (0)
  1. コメントはありません。

コメントするためには、 ログイン してください。

Recent Post【最新の記事】

Calendar【日付で記事検索】

2020年4月
Mon Tue Wed Thu Fri Sat Sun
« Mar    
 12345
6789101112
13141516171819
20212223242526
27282930