1. HOME
  2. RACE【レース】
  3. 2018
  4. 2018 Rd.9 AUSTRIA
  5. 【Rd.9 AUT】FIA F2徹底分析:ARTラッセルが依然最速、マルケロフの挽回も光る
2018 Rd.9 AUSTRIA

【Rd.9 AUT】FIA F2徹底分析:ARTラッセルが依然最速、マルケロフの挽回も光る

2018 Rd.9 AUSTRIA

 

 FIA F2の第6ラウンド、オーストリアではレース1でARTのジョージ・ラッセル、レース2ではロシアンタイムのアルテム・マルケロフが優勝した。いずれもポールトゥウインのレースとなったが、彼らの実力はどうだったのか?

 

 両レースの全車ペースとタイムギャップをグラフ化し分析してみよう。

 

 

 レース1のラップタイムを表にすると、このようになる(横軸が周回数、縦軸がラップタイムで上に行くほど速い)。

 

 

 各マシンとのタイム差をグラフ化したのがこちら。レースの展開と各車の位置関係がグラフィカルに把握できる。横軸が周回数、縦軸がタイム差で下に行くほど遅れが大きくなる。

 

 

レース1:チームメイト同士でもはっきりと分かれたタイヤマネージメント

予選会低迷からリバースポール獲得のマルケロフが光る

 

 ほぼ全てのマシンがオプションのスーパーソフトタイヤでスタートし、6周目にSCが出たところでピットインしてプライムのソフトタイヤに履き替えている。

 

 10周目以降のプライムでのレースペースを比較すると、マルケロフ(青色・太線)とアルジュン・マイニ(緑色・太線)が速いが、これは彼らがプライムでスタートして一時的に上位に浮上し、クリーンエアで走っているため。マイニは20周目を過ぎるとデグラデーションが進んでペースが低下し、序盤に抑えて走っていたマルケロフは上手くタイヤを保たせることに成功している。同じ戦略のショーン・ゲラエル(赤色・太線)も同じような傾向を示しているが、この2台に較べて全体的にペースが劣っているのはマシンの差なのかドライバーの差なのか判断が難しい。

 

 オプションスタート勢のペースを比較すると、ラッセルはほとんどデグラデーションもなく安定したペースを維持し、レース終盤にはペースを上げている。これは3位フィニッシュのアントニオ・フオッコにも言えることで、特にフオッコの場合はスタート直後にドライブスルーペナルティを科されたこともあってスティントの前半はフリーエアのなかで抑えて走りタイヤのグリップを温存、そしてライバルたちがデグラデーションに苦しむレース終盤に一気にペースアップして次々とオーバーテイクし3位まで浮上するという荒業をやってのけた。

 

 

 MPのロベルト・メリ(オレンジ色・太線)は速いもののタイヤマネージメントはやや厳しく、レース終盤のペース低下が激しい。カーリンのセルジオ・セッテ・カマラ(紺色・太線)、ロシアンタイムの牧野任祐(青色・細線)、DAMSのニコラス・ラティフィ(水色・細線)も同じような傾向で、途中までは実質2位のポジションを走っていたアーデンのマキシミリアン・ギュンター(ピンク色・太線)はもっと酷い状況で、もっと30周目から急激にペースが低下して最後は入賞圏外まで後退してしまった。

 

 チームメイト同士でもデグラデーションの出方にはかなり差があり、マシンセットアップもさることながらドライビング面でのタイヤマネージメントで大きな差が生じていることが分かる。

 

 そんな中で、予選で下位に沈みながらもデグラデーションが大きいことを読んでリバースストラテジーを採り、レース最終盤にオプションタイヤで猛攻を仕掛け5台抜きで8位まで挽回したマルケロフの快走が光った。ここでリバースポールを獲得しレース2で優勝するという、予選からの最大限の挽回を成功させたことになる。

 

 

レース2:マルケロフ、ラッセル、セッテ・カマラ抜群のタイヤ管理

F1決勝を予感させる酷暑のタイヤマネージメント

 

 日曜午前に行なわれたレース2は、F1の決勝と同様に極めて暑いコンディションでタイヤマネージメントの勝負になった。

 

 そのため全体のペース推移を見ると、レース中盤までは大きく右肩下がりでペースが落ちていくかたち。残り10周を切ったあたりから再びペースを上げる余裕があったのは上位3台のマルケロフ、ラッセル、セッテ・カマラのみで、アレックス・アルボン(水色・太線)、フオッコ、はなんとかペースを維持するので精一杯、それ以下は完全にペースが落ちてしまっている状態だ。

 

 グラフ②を見ても分かるようにレースはほとんど動きのない展開だが、これは各車がタイヤマネージメントに徹しているからというよりも、タイヤを労るべきペースよりも過剰にプッシュしてしまったがゆえの展開。その結果、どのマシンも最後はタイヤが厳しくなり大きくペースが低下するという展開になった。

 

 その中でも牧野任祐は19周目あたりからのペース低下が激しく、2番グリッドからスタートしたものの6位を守ってフィニッシュするのが精一杯だった。福住仁嶺も20周目以降のペース低下が大きく、ポジションを2つ落としてフィニッシュ。しかしレース1で好走を見せたランド・ノリス(紺色・細線)もデグラデーションに苦しむなど、F1の決勝を予感させる予測不可能なデグラデーション勝負のレース2だった。

 

 

(text by 米家 峰起 / photo by FIA F2 / data by F1LIFE)

 

 

 

  • コメント ( 0 )

  • トラックバックは利用できません。

  1. この記事へのコメントはありません。

コメントするためには、 ログイン してください。