【Rd.1 AUS・木曜】ホンダ、初戦からPU2基投入の危機は脱する
開幕戦オーストラリアGPで早々に2基のパワーユニットを投入しなければならない可能性に直面していたホンダだったが(【マクラーレン・ホンダ短期集中連載】④PU分析・後編「ホンダが直面する予想以上の難局と真実」)、どうやらこの危機を回避できる見込みが立ったようだ。
バルセロナ合同テストの段階では、パワーユニット内の消耗部品の寿命が想定よりも短く、夜間作業禁止規定のあるグランプリ週末には交換作業が間に合わないため、オーストラリアGPから2基のパワーユニットを投入しなければならない危機に瀕していた。しかしその後の調整でなんとかこの危機を回避できることになったという。
ホンダ関係者は次のように語る。
「2基を使うのもカーフュー破りも辞めました。今年も従来通りホンダのメカニックは3名のみですから、現場での限られた時間内での文品交換は難しいと思っていましたが、テストではこのパーツの交換作業を毎晩やっていたこともあって、結果的にメカニックがその作業に慣れてスピードアップが果たせたこともあり、1基のパワーユニットに1人のメカニックがついて2基のパワーユニットを並行して作業して、なんとかセッション後からカーフュー開始の時間までに間に合う目処が立ちました」
想定よりも寿命が短いことが判明した当該のパーツは、まだ対策が打てておらず寿命の延長はできていないという。
「当該のパーツのライフはバルセロナ合同テストの時と変わっていません。いずれにしても金曜日のFP-2セッション後にはルーティーンのメンテナンスでパワーユニットを降ろしますから、その際にダメージの度合いを見て、土曜日のセッション後にも交換するかどうかを決めます。おそらく土曜日は周回数が少ないので、交換しなくても大丈夫だと思います。予選はQ1で終わってしまう可能性も充分にありますからね……」
長谷川祐介F1総責任者も説明していたが、バルセロナ合同テスト後のマッピング熟成によって、性能面でもある程度の改善が期待できるという。
「バルセロナではマッピングもまだ不充分なままでの走行でした。しかし今回はマッピングを熟成させて持ってきていますから、パワーも少し出るでしょうし、ドライバビリティや振動の問題も良くなっているはずです。このあたりは金曜日に実際に走ってみてから微調整をしながらといった感じです」
「加えて、ハードウェア面で対策をしたことの効果として、多少ではありますが出力も上がります。胸を張って言えるほどのものではありませんけどね。ただ、振動の問題はパワーユニットだけでなく、ドライブトレーン(つまりギアボックス)の振動もかなりあったようですけどね……」
(text by 米家 峰起 / photo by McLaren)
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