【決勝】レッドブル「ほんの小さな差でウインドウから外れて攻められなくなってしまう」【2026 Rd.11 HUN】
ハンガリーGPでマックス・フェルスタッペンが2位表彰台を獲得したレッドブルだが、マシンがピーキーでほんの僅かな外的要因の変化でワーキングレンジを外れ、ドライバーが自信を持って攻めることができなくなってしまうことが苦戦の要因だという。
それでもシーズン前半戦は大型アップデートの投入で1.2秒差だったのを0.3秒まで挽回することができたとチーム代表のローラン・メキースが説明した。
【まとめ】
・ドライバーが自信を持って攻められるマシンに仕上げられなかった
・マシンバランスやコーナリング中のバランス変化がピーキー
・小さなダメージや風向きなど、ほんの小さな変化で作動ウインドウから外れてしまう
・作動ウインドウ内にある時はドライバーたちが好パフォーマンスを引き出せる
・その変化の理由を理解し、一貫性を向上させることが重要
・序盤のステイアウトやVSCでのステイアウトなど、攻めの戦略で浮上を果たした
・ペース的にはノリス以外とは戦えた
・後半戦は昨年より早くどこかの時点で今季型の開発から来季型開発にシフト
・前半戦に大型アップデートを多数投入したのは、開幕当初の出遅れを挽回するため
・1.2秒差を0.3秒差まで縮めることができたのは、アップデートだけでなく様々な改善のおかげ
【ハンガリーGPでの苦戦と2位獲得の要因】
ーー両ドライバーともに週末を通してマシンに不満を述べていましたが、何が起きていたのでしょうか?
「我々はマックス(・フェルスタッペン)とイザック(・アジャ)の2人に、思い切って攻められるマシンを最後まで与えることができなかった。例えばスパ・フランコルシャンやオーストリアでのドライバーのフィードバックを振り返ってみれば、彼らはマシンが本来あるべきフィーリングにすごく近くて攻められると答えていたはずだが、今週末はそうではなかった。金曜と土曜は日曜よりもさらに酷かったが、決勝でもドライバーに良いフィーリングを与えられたとは言い難い。ただし決勝は全員にとって難しい状況だったし、マックスより明らかに速かったのはランド(・ノリス)だけで、他のライバルに対しては互角かそれ以上の戦いができたはずだ。つまり現状のマシンパッケージ自体にパそれだけのフォーマンスがあるというのはポジティブなことだが、なぜこれほどまでにマシンバランスがピーキーで、コーナリング中のバランス変化やパフォーマンスを発揮できるかどうかの境界線が極めてピーキーだということを究明する必要がある。ここ数戦はマシンを本来の作動ウインドウに収めることに苦労してきたし、それはドライバーたちだけでなくチームとしてもそうだったんだ」
ーー決勝前のシミュレーションではどんな結果になると予測していましたか?
「決勝前の予測ではランドとフェラーリ2台は手の届かない存在だと考えていたが、メルセデスAMGとおそらくオスカー(・ピアストリ)とは戦えると見込んでいた。実際にはフェラーリ2台とも戦えて、ランドだけが別格だったね」
ーーレース終盤のVSCでステイアウトを決断したことで2位を確保することに成功しました。
「今日は戦略面でかなり大胆な判断がいくつもあった。例えば序盤にルイス(・ハミルトン)が早めにピットインした際、あえてカバーしなかった判断もそうだ。今回もピットウォールやファクトリー、タイヤグループ、ストラテジーグループを含め、チーム全員が本当に素晴らしい仕事をしてくれたし、レース運営全体も非常に良かった。シーズン序盤はスタートで苦しんでいたが、今ではきちんとしたスタートが切れ、力強いピットストップができている。戦略もいつも通り非常に優秀で、ここ数戦のチームのオペレーションには本当に満足しているし、あるべきレベルに戻りつつある」
ーーマックス・フェルスタッペンは『毎戦のように新しい問題が出てくる』と話していました。現在のマシンパッケージの根本的な問題は理解できていますか?
「まず、私はこの問題がマシンパッケージそのものに起因しているとは思っていない。我々が苦労しているのは、ドライバーが安心して走れるバランスの取れたマシンに仕上げるということだ。それでも、マックスやイザックたちだからこそ、なんとかその状態でもパフォーマンスを引き出してきたんだ。それが上手くできたサーキットでは、実際にパフォーマンスが向上している。だから重要なのはパフォーマンスを安定して発揮することだ。これは我々が今シーズンに入ってからずっと苦労している点であり、シーズン後半で最も改善しなければならない点のひとつだ」
ーーフェルスタッペンは『様々な要因によってパフォーマンスがどんどん悪化していった』と話していましたが、マシンに何か問題があったのでしょうか?
「我々のマシンは開幕戦から様々な小さな要素変化に対してに非常に敏感だったし、シーズン前半はその影響にかなり苦しめられてきた。例えばグラベルや縁石で少しダメージを負うだけでもそうだし、風向きが変わるだけでもそうだ。今回の予選でもフロアボードにダメージを負った影響があった。そういう小さな変化でマシンは限界ギリギリの状態になってしまう。その結果、ラップタイムを失うだけではなく、ドライバーが(マシンに対する)自信を持てなくなってもしまう。これは今に始まった問題ではないが、まだまだ改善することでポテンシャルを引き出せる部分だと考えている」
【勢力図と今後の展望について】
ーー今回のアップデートでマクラーレンがトップ争いに浮上してきたことに驚きましたか?
「そうだね、今回のパッケージで彼らは間違いなく大きく前進したし、非常に印象的だった。もちろん他のサーキットでどう機能するかはまだ分からないが、ハンガリーGPだけを見れば彼らの進歩は本当に大きかった。我々としては今季初めてフェラーリ2台とメルセデスAMG2台の両方を上回ることができた。しかし、それでも今回マクラーレンが見せたペースは非常に素晴らしかったと言わざるを得ないね」
ーーマクラーレンはシーズン末までに0.5秒進化することになると予測していましたが、シーズン後半戦のアップデート計画はいかがですか?
「他のチームについては分からないが、我々はいずれどこかの時点で今年型マシンの開発を終了し来年型にリソースを集中させることを決断しなければならない。その判断はおそらく昨年より早い段階で行なうことになるだろう。我々としては開幕戦から今回までに非常に大規模なアップデートを投入してきたが、これはシーズン序盤の大きな遅れをできるだけ早く取り戻すためで、そのペースで今後も開発を続けていくことはおそらく難しい。しかし(トップとの)最後の約0.3秒差をどう縮めるのが最善なのかは、これから見極めていく」
ーー前半戦は多くのアップデートを投入し、表彰台争いができるようになりました。開幕当初は中団グループでハースやアルピーヌと争っていたことを考えると、ここまで来たことはどう評価していますか?
「我々は優勝以外を目標にしてシーズンを戦うことはない。それでも、車体部門もパワーユニット部門も、本当に素晴らしい仕事をしたということはこの場を借りて伝えたい。開幕時にはトップから1.2秒遅れていたが、それをシーズン半ばで0.3秒差まで縮めたのだから、今の開発競争のレベルを考えれば非常に大きな成果だ。開幕当初にあの位置に沈んでのは、昨年終盤まで開発をプッシュし続けたことや、自社開発のパワーユニット開発において様々な挑戦があったからだ。しかし、パワーユニット部門も車体部門も本当によくやってくれたし、このラップタイム向上のアップデートによるものだけでなく、それ以外にも多くの裏方スタッフたちの努力によって得られた改善でもあるんだ。約2000人のスタッフ全員が、それぞれの分野で少しずつ改善を積み重ねてきた。その中には外からは見えない仕事も多い。そういう積み重ねが、今こうして毎レースのように表彰台争いができる位置まで我々を押し上げてくれたんだ」
ーーシーズン前半をどのように評価しますか?
「我々は今の結果に満足していないし、実力で勝てるだけのペースを持つマシンを取り戻すまでは、決して満足することはないよ」
(text by 小野 智也 / photo by Red Bull)



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