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2022

【シーズン前半戦総括①】ドライバー予選編:圧倒的速さのルクレール、ガスリー同等の成長を見せた角田

2022

 

 2022年シーズン前半戦の13戦は、レッドブルが9勝、フェラーリが4勝という内容でランキング上でもレッドブル圧勝の結果となった。ドライバーズ選手権でもマックス・フェルスタッペンが8勝、シャルル・ルクレールが3勝で80点ものポイント差が開いている。

 

 しかしこの結果は戦略や信頼性、チームやドライバーのミスも含めての結果。シーズン全体を通して各ドライバーの実力がどうであったのか、改めて総括していきたい。

 

 ドライバーのパフォーマンスが最も表われる予選のリザルトを集計すると以下のようになる(緑色はインターミディエイトタイヤ)。

 

 

 予選で最も高い結果を残しているのはやはりフェラーリのシャルル・ルクレール(赤色)で、ポールポジション7回、平均順位は2.615位で、パワーユニットのペナルティを消化した第9戦カナダGPの15位を除けば平均1.583位と他を大きく圧倒する結果になる(マックス・フェルスタッペンはハンガリーGPを除いても2.25位)。

 

 ただし第9戦カナダGP以降はポールポジションが第12戦フランスGPしかなく、後述する決勝パフォーマンスのみならず予選パフォーマンスも低下している。これはチームメイトのカルロス・サインツ(赤色点線)の予選パフォーマンス向上とも無縁ではない(最後の4戦で2勝2敗)。

 

 そしてマックス・フェルスタッペン(青色)の予選パフォーマンスも、トータルでは2.846位とルクレールに肉薄しており、パワーユニットトラブルで10位に終わった第13戦ハンガリーGPを除けば平均順位は2.25位。シーズン序盤戦は僚友セルジオ・ペレス(青色点線)に対して3回アウトクオリファイされるなどやや苦戦していたが、第9戦カナダGP以降はペレスの予選パフォーマンスが低下して完全に逆転。マシンのアップデートが進んでフェルスタッペンはマシン特性にも上手く適応できるようになっていることが結果に表われている。

 

 ただしポールポジションは3回と少ない。ルクレールとフェルスタッペン以外では、ペレス、サインツ、ジョージ・ラッセルが1回ずつであり、やはりルクレールがズバ抜けた速さを示したと言える。前述のカナダGPを除けば、第10戦イギリスGPと第13戦ハンガリーGPで3位になっただけで、それ以外の10戦ではフロントロウにつけている。この安定感が平均順位の圧倒的な高さに繋がっている。

 

 メルセデスAMG勢は平均順位で5位ラッセル(6.61位)、6位ルイス・ハミルトン(7.30位)につけているが、ハミルトン(緑色点線)は第2戦サウジアラビアGPのQ1敗退を除けば平均順位は6.583位とラッセルと同等となる。予選結果でも7対6でラッセルが僅かに上回っているがほぼ同等と見て良いだろう。

 

 

 中団グループは大混戦で、サーキットによってマシンの得手・不得手が分かれている。

 

 その中で中団トップの7位に付けたのはフェルナンド・アロンソ(水色)で、第4戦エミリアロマーニャGP、第9戦カナダGPとウエットコンディションの予選で光る走りを見せたのが大きい。第6戦スペインGPのQ1敗退がなければ7.333位だったが、こちらはチームの戦略ミスであり不可抗力とは言えない。

 

 しかし逆に言えば僅差で8位に付けたランド・ノリス(オレンジ色点線)の方がアベレージでは上。開幕直前テストの走り込み不足のため開幕2戦では下位に低迷したマクラーレンだが、第3戦オーストラリアGP以降は中団トップどころか3回のメルセデスAMGアウトクオリファイを果たし、第9戦カナダGPのパワーユニットトラブルがなければ平均順位は8.00位とアロンソを上回っていた。

 

 僚友ダニエル・リカルドはノリスをアウトクオリファイできたのは2回のみで、うち1回はノリスがトラブルに見舞われたカナダGP。ノリスとのギャップは昨年よりも着実に縮まっているとは言え、トップドライバーとしては物足りない結果と言える。

 

 そのリカルドやアルピーヌのエステバン・オコンを上回る結果を示しているのがバルテリ・ボッタス(深紅色)だ。ただし第7戦モナコGP以降は予選パフォーマンス不足に苦しんでおり、第13戦ハンガリーGPの8位を除けばQ3進出はなし。チームメイトの周冠宇に3回アウトクオリファイされている。ただしそのうち第8戦アゼルバイジャンGPではQ2のイエローフラッグによってアタックができずQ2敗退となっており、残り2回はいずれもウエットコンディションでの予選だ。

 

 ケビン・マグヌッセン(白色)も平均順位10.92位でランキング上は11位に付けているが、開幕戦バーレーンGP、第4戦エミリアロマーニャGP、第6戦スペインGP、第9戦カナダGP、第11戦オーストリアGPの善戦以外は下位に低迷していることも多い。僚友ミック・シューマッハ(白色点線)の結果を見ても、これはドライバーの腕よりもチームのセットアップや予選運営による部分が大きいのが分かる。

 

 

 アルファタウリも同様に得手・不得手が激しい。ピエール・ガスリー(紺色)は序盤2戦と第5戦マイアミGP、第8戦アゼルバイジャンGP、第9戦オーストリアと5回のQ3進出を果たしているものの、Q1敗退も5回。チームとしても2台揃ってQ3進出というのが第5戦マイアミと第8戦アゼルバイジャンしかなく、アルファタウリ自体のパフォーマンス不足を物語っている。

 

 角田裕毅(紺色点線)はQ3進出が3回に対してQ1敗退が5回あるものの、うち2回はパワーユニットトラブルの第2戦サウジアラビアGPとパワーユニット交換ペナルティ消化の第9戦カナダGP。その2戦を除けば対ガスリーでは5勝6敗でほぼ互角で、平均順位もこの2戦を除けば12.45位とガスリーを上回る結果となっており、2年目の角田の予選パフォーマンス向上ははっきりと見て取れる。

 

 

(text by 米家 峰起 / photo by Pirelli)

 

 

 

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