【F1ギョーカイ用語】「DEFAULT」(でふぉると)
「DEFAULT」(でふぉると)
Defaultというのは元々「欠場」という意味の英単語で、債務不履行で破産する時にも「デフォルト」といったりもしますね。F1ギョーカイでも使われているのですが、別にケータハムやロータスのことをいうわけではありません。
F1ギョーカイ用語のDefaultの意味は、日本で最も浸透しているDefaultのもうひとつの意味とほぼ同義で使われます。日本語でいうところのデフォルト、つまり初期値とか初期設定という意味です。
F1マシンのステアリングには無数のボタンが付いていますが、その中に「Default」というボタンがあります。チームによっては「X」と表記されていたり呼ばれていたりするボタンです。エンジニアから無線で「デフォルト5、ポジションB」などと指示を受けると、ドライバーはデフォルトボタンを押して「+」「-」ボタンを使って「5」を呼び出し、その設定値を切り替えます。
これが何を意味するかというと、ある機能(ここでは5番目に登録された機能)の設定を初期化するということです。例えばMGU-Hにトラブルが起きた場合、まずMGU-Hに関連する機能をリセットして初期化し、トラブルが解決するのを期待するわけです。レース中に様々な設定変更をしたがために暴走していたりトラブルを誘発している可能性があるからです。
コンピュータや携帯電話をむやみに連続操作すると固まってしまったり異常作動することがあるのと同じで、その場合はいったん電源を落として再起動してみるのと同じことです。今のF1マシンはパワーユニットに限らずマシン全体を電子制御していますから、まさにコンピュータと同じように暴走したりリセットしたりといったことも必要なのです。
デフォルトの何番がどの機能かはチームによって異なりますからその詳細を知ることはできませんが、レース中にドライバーに対してこの「デフォルト」の指示が飛んでいるということは、そのドライバーのクルマは何らかのトラブルを抱えているということなのです。
(text by 米家 峰起 / photo by Wri2)
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