REGULAR【連載】

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 2014年から導入された新型パワーユニットは、ターボエンジンに2つの回生システムを組み合わせるという極めて複雑なものでした。V6内燃機関エンジンのICE、ターボチャージャーTC、MGU-H、MGU-K、バッテリーのES、そして電子制御ユニットECUそれぞれが年間5基しか使うことは許されず、その運用はFIAによって管理されていました。このあたりの名称と運用管理も開幕戦やマレーシアGPあたりになってようやくFIA技術員が決めるというバタバタの状態であったことはここだけの話ですが……(苦笑)。

 

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 さて、その複雑なパワーユニットのうち、エネルギー回生の要であるバッテリーはモノコックのコクピット後方底部、燃料タンクの下にマウントされています。クラッシュ時に最も危険なバッテリーを保護するためです。

 

 ですからあまり我々の目に触れることはありませんでしたが、これがそのバッテリーユニットです。2009年からのKERS時代と比べても格段に大きくなっていますし、思いのほか大きいのに驚かれるかもしれません。

 

 MGU-Kの使用は1周あたり4MJと制限されていましたが、MGU-Hからの回生は無制限で、バッテリー容量も別に制約があるわけではありません。しかし重量は20〜25kgと規定されているため、現在のバッテリー技術からいってある程度の容量は決まってくるわけです。

 

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 このようにジャッキアップしたモノコックの下に滑り込ませ、ハイドロ式の昇降台で持ち上げながら吊り上げるようにしてマウントします。これだけ巨大で重いユニットですから、メカニックたちにとっても大仕事です。

 

 メカニックは万一の際の感電防止のためにゴム手袋をはめていますが、さらにバッテリーユニットはこのオレンジ色のゴムシートを介した状態で昇降台に乗せられ、そのままモノコック下へと吊り上げられています。

 

 今季非常に苦労したルノーですが、開幕前のテストではバッテリーの個体差がその原因のひとつだったといいます。市販車のハイブリッド用バッテリーも含めていくつかのバッテリーメーカーがありますが、各パワーユニットメーカーは各社のバッテリーの性能や性質を吟味した上で選定しているといいます。

 

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 ちなみに、メルセデスAMGのバッテリーユニットがこちら。やはりルノーに負けず劣らず大型で、V6内燃機関エンジン以上の面積を占めています。モノコック下にはこんなに巨大なものが収められているのです。

 

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 こちらは実戦仕様のメルセデスAMG製パワーユニット。内燃機関エンジンの排気管下に円筒形のMGU-Kのモータージェネレーターユニットが見え、そこから3本のオレンジ色の太いケーブルが伸びています。これがモノコック下のバッテリーに接続されるケーブルで、高電圧ケーブルであることを示すためにオレンジ色にすることが義務づけられています。白い部分がコネクタープラグですね。

 

 その隣にもうひとセット見えているオレンジ色のケーブルは、エンジンバンクの間に設置されたMGU-Hのモータージェネレーターユニットとバッテリーユニットを接続する高電圧ケーブルです。その上にあるターボのコンプレッサーは銀色のカバーで隠しています。この写真は中国GPで撮影したものですが、この時点ではまだメルセデスAMGだけがターボのタービンとコンプレッサーを前後別々に配置しているというのはあまり知られていなかったんです。

 

 この方が冷却的に有利で、そのおかげでメルセデスAMGはMGU-Hの性能が高いなどともいわれていますが、関係者に聞く限りでは、この特殊なレイアウトはパワーユニット性能を優先したものではなく、巨大なコンプレッサーを前に持って行くことでエンジン後方をコンパクトにして、空力的なアドバンテージを得るため、もしくは空力部門からの要求に応えるためのものだったようです。

 

(text and photo by 米家 峰起)

 

 

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