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【2023 Rd.16 SGP】木曜 角田裕毅「アップデートは0.2〜0.3秒、今まで取り逃したものを取り戻したい」

【2023 Rd.16 SGP】木曜 角田裕毅「アップデートは0.2〜0.3秒、今まで取り逃したものを取り戻したい」

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ーーまず前戦イタリアGPで壊れたパワーユニットの状況について教えてください。

「今日ホンダさんから説明を受けたのは、エンジン側の部品に問題があって、もう使うことができないということです。ですがシンガポールと鈴鹿は中古のパワーユニットを使うのでペナルティを受けない予定なので大丈夫です。モンツァは上手く行きませんでしたが、レースまでは良いペースを見せることができましたし、ここ数戦でいくらか進歩できたことはポジティブな要素だと言えます」

 

ーーイタリアGPの後はイベント尽くしでした。

「イタリアGPの後はスケジュールがすごく忙しくて、チームの映画『Whatever it Takes』のプレミア試写会でベネツィアに行って、僕としてはベネツィアは2回目の訪問だったんですが本当に特別な場所ですし、映画も僕さえ知らなかったようなチームの裏側を映し出していてとても面白いと思います。この数年間を追いかけた映画で、チームがどのように変貌を遂げてきたか、その背景にはどんな情熱があったかを描いていますし、良いドキュメンタリー映画だと思います」

 

ーーその後はニュルブルクリンクを走行しました。

「ベネツィアの後はニュルブルクリンクの旧コースで行なわれたレッドブルのイベントのためにドイツに行きました。セバスチャン・フェッテルも彼自身が乗っていたレッドブルのF1マシンをドライブして、僕はホンダNSX GT3をドライブしました。ニュルも初めてならハコ車自体が初めてだったので、全てが新鮮でしたね。ニュルはブラインドコーナーやブラインドのクレストが多くて、全開で行って良いのかどうか分からなくて、すごくチャレンジングでした。あそこをF1マシンで走ってレースをしていたなんて、全く想像もできないですね」

 

ーーレイアウト変更されたサーキットはシミュレーターで試しましたか?

「セクター3に長いストレートができてテクニカルセクションが減った感じですね。なぜあそこをDRSゾーンにしなかったのかが不思議なくらいですね。シミュレーターで走った限りでは、DRSがなければフォロー(してオーバーテイク)するのは難しそうです。あとは実際に走ってみてどうかですが、ターン14までのDRSゾーンで近付いてスリップストリームを使ってターン16までに追い付けばオーバーテイクができるかもしれませんし、チャンスが増えることは確かなので悪くない変更だと思います」

 

ーーラップタイムはどのくらい速くなるでしょうか?

「去年のラップタイムを忘れちゃいました(笑)。シミュレーターでも全然比較はしていませんでしたね」

 

 

アップデートは0.2〜0.3秒

ターンイン時の自信が向上する

 

ーー今回のアップデートについては?

「今週はかなりのアップグレードが入りますし、今シーズンの中でも大きなものになると思いますし、手応えは結構ありますしシルバーストンの(大型タップデートと呼ばれるものを投入した)時よりも全然あります。メカニカル面でも少し入っていますが、基本的には空力面にかなり注力して大きく進歩してきていると思いますし、シミュレーター上ではラップタイムのゲインもシルバーストンの時より大きく出ているので楽しみです。これによってレースをしているポジションが変わることを願っています」

 

ーーシミュレーターではどんな感触でしたか?

「シミュレーターでもすでに違いは感じていますね。イギリスGPのアップデートの時はシミュレーターでも大きな変化はあまり感じられませんでしたしラップタイムのゲインもほとんどなかったんですけど、今回はシミュレーター上でもすでにマシン特性の変化を感じました。今のマシンと同じような方向性ではありますけど、今よりももう少しターンイン時のリアのサポート(安定性)が向上しているような印象です。もちろんシミュレーターでは正確な違いは感じにくいですし実際のサーキットを走れば色んな要素があるのでまずは実走で確認をする必要がありますけど、今のところは良い方向に進んでいますしイギリスGPの時よりも大きなラップタイムのゲインがあると思います」

 

ーーダウンフォース増やドラッグ低減よりも、開幕前からずっと課題としてきたハードブレーキングとそこからのターンインを改善する、予選で得意のブレーキングをさらに詰めていけるようになるアップデートですか?

「そうですね、そんな感じだと思います。ブレーキングからのエントリーでのリアサポートがかなり増えて、ミッドコーナーから出口はそんなに変わらないという、エントリー側にかなり振ったアップデートです。一発で曲げやすいというか、自信を持ってコーナーに入っていけるようなクルマになっていると思います。ドラッグを増やさずにダウンフォースを増やすというのもありますけど、マシンのキャラクター性を変えるという、全て良い方向に変わるようなアップグレードですね。今まではリアのサポートが足りなかったことは明らかでしたし、それはダニエル(・リカルド)やリアム(・ローソン)からも同じフィードバックだったので、今回のアップデートは開発として間違いなく正しい方向に進んでいますし、ドライバーとしてさらに自信を持って走ることができるマシンになればと思います」

 

ーーシミュレーションではコンマ何秒くらいゲインしている?

「シミュレーター上では0.3秒くらい、少なく見積もっても0.2秒以上は速くなっているかなと思いますけど、これは結構大きいですよね」

 

ーー少なくともハースやアルファロメオとの最下位グループからは抜け出せそう?

「そうですね、そうなるように頑張っています」

 

ーーウイリアムズくらいまで行ければ……。

「ウイリアムズは中団グループでも結構上の方ですからね。あそこくらいまで行ければ良いですよね。アルピーヌはサーキットによりけりですけど、ウイリアムズは結構コンスタントですし。アルピーヌは最近そこまで速くないですけど、速い時は速いという感じなので、できればウイリアムズやアルピーヌくらいまで行ければと思いますね。僕は個人的にはアルファロメオは速いんじゃないかと思いますけどね」

 

ーードライバーが遅いっていうこと?

「アハハ、そうは言ってないですよ(笑)」

 

ーー鈴鹿でも効果が発揮されるでしょうか?

「もちろん。今後のレースのベースになるアップデートですね。まぁここと鈴鹿はサーキット特性がかなり違うので、ここで良くても鈴鹿でどうと言うのは難しいですけどね」

 

ーー基本的にバクーのように好結果が期待できるサーキット特性と考えて良いでしょうか?

「市街地サーキットなのでウチのクルマ的には悪くないんじゃないかなと思っています。バンピーで低速なのでメカニカル面が生きるサーキットなので、そういった部分は楽しみですね」

 

ーー今週末にはどのようにアプローチしますか?

「シンガポールは全ての箇所が公道なので、真の市街地サーキットと言えると思いますが、路面コンディションは年によってもセッションによっても違うので、マシンに対する自信を深めるためにも1周でも多く走り込んで徐々にビルドアップしていく必要があります。FP1では路面コンディションの確認をして、マシンがこのサーキットでどんな挙動をするか、このサーキットに合っているか、第一印象を探ることになります。そこから予選で100%を引き出せるようにビルドアップしていく必要があります。まずはFP1でクルマのフィーリングを確認してできるだけチームにフィードバックして、クルマのパフォーマンスが良ければQ3で7〜8位まで行けるようなパフォーマンスを出すことが目標になりますし、決勝では今まで獲れなかった分を取り返して行ければと思っています。」

 

 

契約についてはリラックス

「テキトーなこと」って書いて欲しい

 

ーーモンツァで聞いたときには『アルファタウリから落とされる理由がない』と話していましたが、その後シート争いについて根拠の不確かな様々な報道が出ていることについてはどのように感じていますか?

「まぁ、あんまり見てないんですけど、まぁソーシャルメディアってそういうもんじゃないですか?(苦笑) テキトーに流すのも良くないと思いますし、テキトーに流すなら流すで『テキトーに流しました』って書けば良いのに、って思いますね(笑)。まぁしょうがないかなって思ってますけど」

 

ーー1年目はこういう状況に焦りもあったと思いますが、今は?

「違いますね。今はマネージャーがいるというのもありますし、どういう状況かというのは他の誰よりも自分たちが一番よく分かっていますし、なのでああいう報道があってもそんなに心配はしてないですね」

 

ーーレッドブルのリザーブドライバーという報道もありましたが、アルファタウリのレースシートよりもその方が良いという気持ちはありますか?

「いや、ないですね。僕はレースがしたいんで」

 

ーー今回はダニエル・リカルドが現場に来ています。

「まだ全然話してないんですけど、オランダでケガをした直後もパドックで話をしましたし、その後も彼のSNSでの発信は常にフォローしていますし常にケータイでチャットをしてお互いにサポートし合ってきています。なので彼がなるべく速く回復してF1に戻って来てくれることを願っています。レースをしなくてもこうして現場に来て復帰に向けてマインドセットを準備するのも良いことだと思いますし」

 

(text by 米家 峰起 / photo by 米家 峰起, AlphaTauri)

 

 

 

 

 

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