REGULAR【連載】

20150305-01

 

 さて、2015年の開幕前テストが全て終わり、日本に帰ってきました。

 

 『F1LIFE』でお伝えしてきた通り、僕は3回全てのテストに取材に行きました。初回ヘレスは柴田さん、津川さんも取材に来ていましたが(カメラマンは桜井さん1人のみ)、次のバルセロナは川井チャンがきたものの書き屋という意味では僕1人だけ(カメラマンは2人)、そして最終バルセロナは等々日本人メディアは僕だけになってしまいました! 寂しい!(苦笑)

 

 去年も確か最後のバーレーンは書き屋は僕1人だったと思いますが、カメラマンはまだ1人いたんですよね。だから本当に日本人メディアが1人だけという状況はかなり久しぶりです。

 

 ホンダがF1に復帰する直前だというのに、なんでこんな寂しい状況なんでしょうか? メディアの注目度は決して低いわけじゃないのに、取材者はいない。よくよく考えたら、前出のヘレスだって柴田さんはパリ在住、津川さんはイギリス在住で、日本から来た書き屋は僕しかいないし!(苦笑)

 

 まぁ、はっきり言ってしまえば、需要がないからです。取材に行ってペイするだけの仕事がないから、誰も行かない。要するに、現場の情報なんて全然必要とされていないということですね。現地取材なんか行かなくてもTwitter見てればある程度の情報は得られるし、テストなんて1日の終わりにタイム表を見て、海外のサイトが報じている情報を翻訳すればいっちょ上がり、といった具合です。

 

 現地で名もなきジャーナリストが取材した情報よりも、現地で取材なんてしていなくても有名な人が語ったことの方が(たとえ何の裏付けもなくても)もてはやされるという側面もあります。現地で取材をしていればそんなの間違いだらけだと分かりますが、間違いか正しいかは問題ではないんですね。

 

 ファンの人たちの中にも、Twitterなどインターネット上で情報を集めて誰よりも分かった気になっている人もいるでしょう。確かにネット上をさらうだけでもいろんな情報が得られるでしょう。写真を見て分かることもあるでしょう。

 

 でも、やっぱりそれって生の情報ではないんです。Twitterや公式リリースを見てたって、チームはウソこそつかないけど、自分たちにとって都合の悪いことは発信しませんから。現場にいる誰かが発信しているだろうと思うかもしれないけど、ピットレーンにいる人の数を見れば、“その場”で何が起きているかを詳細に見ている人間なんてそう多くはいないことが分かると思います。

 

 ホンダの苦しい状況についても、日本のウェブサイトで流れているのはほとんどが海外記事の翻訳ですから、新井さんの英語でのコメントを翻訳したものです。でも新井さんってそんなに英語が上手じゃないんですね。だからどうしても“結論”の部分だけが大きく出てしまって、なぜそうなのかという説明の部分が手薄になる。日本語で聞けばすごく納得できるんですけど、そこが英語では説明されないので、単にわけもわからず楽観的な発言に終始しているように見える。でも、それを伝えて欲しいという声はメディアからほとんど上がってこないし、ファンの人たちもあまり求めていないように感じられる。

 

 メディアの報道にしたって、青山で会見が開かれたこととか、(たとえ予定調和のコメントでも)そこで誰がどう語ったかばかりに目が向けられて、テストでどんなことが行なわれて進歩したかよりも事故が起きたこととか漏電とか情報隠蔽の噂があるというスキャンダラスなことにばかり目が向けられています。

 

 開幕戦はホンダの現社長と新社長も視察にいらっしゃって、大勢の日本人メディアがやってきてえらい騒ぎになるでしょうけど、それって“初戦”という表面的なことに興味を持っているだけで、ここまでに彼らがどんな開発をやってきたかとかどんな苦労をしてここまでたどり着いたのかということは全てスルーして、開幕戦の結果だけで“良かった”とか“ほら、やっぱりダメだった!”と言うためにやってくるわけですよね。

 

 

 でも僕は、やっぱりここまでテストにも帯同して取材してきて、マクラーレン・ホンダの進歩の経緯をリリースとか文字、写真という二次情報ではなく、自分の目と耳で見聞きして感じてきたことを良かったと思うし、それを伝えていきたいと思っています。

 

 マクラーレン・ホンダの苦境とかアロンソ事故に関する報道を見ていても思いますが、結局“真実”とか本当に価値のある情報を求めている人ってそんなに多くはいないんだなと感じます。本質よりも、記事として面白いかどうかに目を向けてしまっているような気がします。正直言って、本当にガッカリしました。

 

 もちろん、そうじゃない人もいらっしゃるし、そういう方が『F1LIFE』をご覧になってくださっているんだと思います。そういう方がいらっしゃることに、とても感謝しています。

 

(text and photo by 米家 峰起)

 

 

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