RACE【レース】

 

 第2戦バーレーンGPでの各チームの各マシンは、どこが速くどこが弱点だったのか。バーレーン・インターナショナル・サーキットでこのような結果になった理由を、各マシンの車速を分析することで解き明かしていこう。

 

 各マシンのQ3自己最速アタックラップでの、各コーナーエイペックス及びストレートエンド(EOS)等での車速をまとめたのがこちらの表。Q3に進出していないルノーとトロロッソ、レーシングポイントはQ2、ウイリアムズはQ1でのデータを掲載している。

 

 Q1では路面のインプルーブが大きかったが、Q1とQ2は最大でも0.5秒程度のゲイン、Q2からQ3は実質的にゼロというレベルであるため、ほぼそのまま比較しても問題はないだろう。

 


 

 全車のデータをグラフ化したのがこちら。

 

 

 比較を容易にするために、まずトップ3チームだけを抜き出すとこのようになる。

 

 全体的な傾向としてフェラーリ(赤色)は最高速が速い。しかしその反面、低速コーナーも遅い傾向が見える。なお、グラフ化したシャルル・ルクレールに比べてセバスチャン・フェッテルはややダウンフォースを付けたようで最高速はここまで伸びていない。

 

 メルセデスAMG(緑色)は低速コーナーのボトムスピードが速く、レッドブル・ホンダ(紺色)はバーレーンで唯一の高速コーナーであるターン5〜6が遅く、空力的な苦しさを物語っている。

 

 

【セクター1】ストレート立ち上がりから最高速まで速いフェラーリ

低速コーナーが速いメルセデスAMG

 

 まずセクター1での車速を比較すると、ターン14のボトム速度はアタック前に立ち上がり重視のライン取りでスロットルを踏んでいるためあまり比較の意味はない。しかしDRSがオープンになるターン15から170m先の作動地点ですでにフェラーリは4km/hの差を付けており、ストレートの前半加速でアドバンテージを得ていることが分かる。逆にメルセデスAMGとレッドブル・ホンダの間にはほとんど差がない。

 

 この傾向はターン1からターン4までの全開区間でも同じで、ターン3の23m先にあるDRS作動地点までの加速でフェラーリが5〜7km/hの差を付けている。そしてその速度差がそのままストレートエンドまで続いている。

 

 ただしフェラーリだけはどのストレートエンドでも若干の速度低下が見られ(ルクレールの場合327km→322km/h)、サーキット全体の全開区間の全てにおいてディプロイメントを効かせるのではなく、ストレートエンドでは敢えてディプロイメントを切って別のところに電気エネルギーを振り分けている。これは同じフェラーリ製パワーユニットを使うハース(321km/h→316km/h)、アルファロメオ(326km/h→322km/h)も同様だ。

 

 フェラーリは昨年途中からこうした特殊なエネルギーマネジメントをしてきているが、その正確な理由は明らかではない。バッテリーから4MJとMGU-Hからの直接回生が無制限で使える予選ではディプロイメントを100%カバーしようと思えばできるはずなので、おそらくはストレートエンドではMGU-Hからの発電を行なわずに次の低速コーナーからの加速に備えてターボ効率を上げるために敢えてこのような制御をしているのだろう。

 

 

【セクター2】高速コーナーでロスするレッドブル

低速コーナーとそこからの立ち上がりが速いメルセデスAMG

 

 セクター2での車速を比較すると、バーレーンで唯一の高速コーナーとなるターン5〜6でマシンの空力性能を分析することができる。

 

 ターン4から立ち上がって全開でターン5にアプローチし、ブレーキングして飛び込んで行くターン6でフェラーリとメルセデスAMGはほぼ同等のスピードでコーナーをクリアしているが、レッドブルはボトムスピードが4km/h遅い。これは空力性能(=ダウンフォース発生量)の差に他ならない。

 

 レッドブルは全体的にリアのナーバスさに苦しんでいたが、これはコーナーの途中でリアがスナップしてグリップを失ってしまうというもの。回り込むというほどではなくスムーズに曲がっていくターン6ではそのリアのナーバスさはそれほど問題にならないはずで、空力性能の差がそのままこの速度差に表われていると言える。逆にターン5到達スピードはターン4からの立ち上がりのリアのナーバスさの影響を受けており、ターン6の脱出スピードがそのままターン8手前の最高速にも響いている。

 

 ターン8やターン10ではマシンの挙動がナーバスになりがちだが、フェルスタッペンは巧みにこれをコントロールしている。Q2で敗退したピエール・ガスリーはターン8で78km/h(VERは81km/h)と苦戦している。それでもターン10ではフェラーリの方がさらに72km/hと遅く、やはり低速コーナーで遅れを取っている。

 

 逆に低速コーナーが速いメルセデスAMGはバックストレートの立ち上がりが速く、ター10から50m後のDRS作動地点ではフェラーリに16km/hという大きな速度差を付けている。つまりこの速度域までの加速はメルセデスAMGの方が速く、車体の空気抵抗が増えるストレートの中盤からフェラーリの加速が上回っているということが分かる。

 

 

【セクター3】中低速コーナーで優位を維持するメルセデスAMG

明確な優位点が存在せず苦戦するレッドブル

 

 セクター3での車速も、ストレートエンドでフェラーリが速く、低速域でフェラーリが遅いという傾向が顕著に出ている。ただしターン13ではメルセデスAMGに対して8km/h負けているが、Q3のフェッテルはハミルトンと同じ152km/hで通過しており、ルクレールとのセッティングとドライビングの違いによるものと考えられる。

 

 実質的な最終コーナーである中低速のターン14でも、メルセデスAMGだけが130km/hと突出したボトムスピードでクリアしている。

 

 そこからの立ち上がりはおそらくメルセデスAMGが最速のはずだが(ターン10からの立ち上がり〜DRS作動地点参照)、170m先のDRS作動地点ではフェラーリが同等まで追い付いてきている。逆にレッドブルはターン14のボトムスピード差がそのまま通過速度差になってしまっている。

 

 DRSがオープンになった先のコントロールラインではフェラーリが5km/h上回っており、パワーで優位にあることを表わしている。DRSを使わない全開区間のターン14手前でもフェラーリは4km/h速い。

 

 

 予選でのGPSデータを分析すると、フェラーリはメルセデスAMGに対してストレート(スロットル全開区間)だけで0.5秒のゲインを得ている。逆に低速コーナー(〜125km/h)、中速コーナー(125km/h〜175km/h)ではメルセデスAMGがそれぞれ0.15秒ほどのゲインを得ており、175km/h以上の高速コーナーではほぼ同等というGPSデータ分析となっている。

 

 最高速のみならずストレート前半の加速でもライバルに優っているフェラーリだが、低速コーナーでは遅い。低速コーナーで速いメルセデスAMGに比べると10km/hも遅く、ラップタイム的にはここで大きな差を付けられている。

 

 レッドブルは昨年までは低速コーナーで大きなゲインを得ていたが、今年のRB15はその美点が失われているのはもはや明白だ。

 

(text by 米家 峰起 / photo by MercedesAMG, Ferrari, Red Bull, Pirelli)

 

 

 

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Comment

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  • コメント (1)
    • w0fu1sg6
    • 2019年 4月 09日

    2週間前トトが言ってたフェラーリがコンマ5勝ってるってさすがでしたってことですか・・。うーん、これフェラーリの直線速度もそうだけど、「伸び」がありますよね・・・おかしい・・・。。。ダブルK?ダブルバッテリ?バーレーンでは、なーんか1個ぶっ壊れた?ピストンがらみやっぱりウソ・・・?マラネロのアリバの生き残りが口割らんかなあ・・・

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