【特別記事】岩佐歩夢インタビュー(中編)「リザーブドライバーの仕事とは」
岩佐歩夢の2025年総括インタビューを全3本でお届けする。中編はリザーブドライバーとしてのしごとについて。来季、角田裕毅がどのような仕事をこなし成長に繋げられるのか、そのヒントが多分に含まれている。
【リザーブドライバーの仕事とは】
ーーリザーブドライバーとしてどのような仕事をこなしてきましたか?
「まずは現地に帯同することで、スーパーフォーミュラがない時は全戦ということで今年は21戦帯同しました。そこで様々なことを学んで吸収し、自分自身が出場することになった時に備えて準備を整えるというのが一番のターゲットでした。あとは現地でできるチームへのサポート。データ分析やオンボード映像解析をしてドライバーだからこそ分かる感覚や分析結果をエンジニアたちと共有してチームをサポートするということをやっていました」
ーーヨーロッパラウンドではシミュレーター作業も?
「ヨーロッパラウンドの時だけフライデーサポートとして金曜日にファクトリーでシミュレーター作業を行なってきました。レースによりますけど、早ければFP2が終わって3〜4時間後くらいまで、長い時は5〜6時間後までやってそのまま空港に移動して現地に飛ぶか、数時間寝て(朝一番で)現地に行くという感じでしたね」
ーー移動はかなりタフだったのではないでしょうか?
「いやもう大変でしたね。それこそシミュレーターと帯同だけならまだマシだったかもしれませんけど、スーパーフォーミュラにも出場していたので日本からの移動もあったのでかなり厳しかったですね」
ーー移動疲れをなくすコツは?
「移動に関しては長距離移動は基本的に寝ます。移動の前後、特に到着後は何かしら活動しなければならないことがほとんどでしたし、休んでいる暇がなかったんです。時差調整をする余裕があるなら良いんですけどないので、とにかく寝てエネルギーを消費しないようにしなければいけないですし、長距離フライトは基本的に身体のコンディションを整えることに集中していました。もちろん時差ボケ自体はありますしそれをコントロールするにも限度はありますけど、トレーナーとのコンディショニングも含めて色々と試行錯誤しながらやっていましたね」
ーーシミュレーターでは具体的にどのような作業をするのでしょうか?
「基本的にはFP1とFP2の結果を元にしたFP3と予選に向けたセットアップアイテムの確認ですね。何をすればマシンパフォーマンスが上がりそうなのか、セッティングの方向性の見極めをやっています。メカニカル面もやりますしエアロ面もテストもやります。サーキットによってはエアロパッケージが2パターンあって悩ましい時もあったりするので、どっちがどこが良くてどこが悪いのかというのを判断するのにシミュレーターを使ったりします」
ーー2台のマシンでセットアップの方向性が異なる場合はどうするんですか?
「チームによっても違うと思いますが、(レーシング部ズルズの場合は)2台ともにコラレーションを取ってセットアップを煮詰めていくというよりも、どちらかのセットアップをピックアップしてそれをベースラインのセットアップとして改善していくというアプローチです。レーシングブルズの場合は2台のセットアップが極端に違うわけではないので、そういうアプローチでシミュレーターでやったことが2台ともに共通して効果を発揮するということですね」
ーーFP1で実車をドライブしてみて、実車とシミュレーターの間にはどんな差がありますか?
「今のところ僕が感じている限りではすごく近いところにあるなという感覚です。ちょっと難しかったのは、シミュレーターではレーシングブルズのベースラインと呼ばれているクルマ、つまり(イザック・)アジャ選手の仕様に近いマシンで走っているんですが、実車ではリアム(・ローソン)選手のマシンをドライブしたことですかね。仕様というのはセットアップではなくてシステム的な部分で、ステアリングラックのレシオが違ったり、ブレーキの硬さが違ったりといったところですね。メキシコシティのFP1ではシミュレーターとは違うリアム選手仕様のステアリングレシオで走ったので慣れる必要がありましたけど、車体そのものについては極端な違いはありませんでしたし、こういうところがこのクルマは2024年型よりも良くなっているとかこういうところはネガティブ(良くない)なんだとかいうのはシミュレーターでの感覚と共通している部分がありました」
ーーマシン仕様が異なるというのもありますが、イザック・アジャとリアム・ローソンのドライビングスタイルは違いますか?
「全然違いますね、全く違います。どちらかというとリアム選手の方が特殊というかすごく丁寧なドライビングスタイルで、ステアリング操作だけでなくタイヤの使い方も含めてすごく丁寧なんですね。少しステアリングを切っただけでフロントタイヤが良く曲がるモナコのような設定になっていますが、マシンに対してのインプットが優しい印象です。アジャ選手はどちらかというとイニシャルからクルマやタイヤの限界値をバンと使いにいくようなスタイルですね」
ーー岩佐選手はどちらのタイプですか?
「おそらくアジャ選手の方が近いですね。オンボード映像をずっと見ていますけど、リアム選手のようなスタイルではないというのは自分の中でも明確に感じますね」
(text by 米家 峰起 / photo by Red Bull, Racing Bulls, HRC)



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