【決勝】ピットストップ分析:赤旗中のタイヤ交換のため計7回のみ【2024 Rd.8 MCO】
第8戦モナコGP決勝のピットストップについて分析しておこう。
ほぼ全車が1周目の赤旗中断でタイヤ交換義務を消化してしまったためピットストップは7回しかなかったが、全ピットストップの静止時間をまとめると以下のようになる。
こちらのグラフは、ピットストップの静止時間を比較したもの。つまりピットクルーによるタイヤ交換作業の時間ということになる。48周目のランス・ストロール(バーストしたタイヤの交換)を除くと、2.10秒〜2.66秒となっている。
平均値は2.46秒で、前戦エミリアロマーニャGPの2.78秒と比べると速くなっている。ピットストップ回数が少なかったことで平均値を下回るピットストップが少なかったこともあるが、開幕からピット作業に問題を抱えていたステーク勢がようやくフロントハブの改善によって2.5秒台を記録できるようになったことが効いている。
最速はレッドブルで、モナコはピットレーンが狭いため迅速なピット作業が難しいが、レッドブルはピットガレージが一番手前でピットインしやすく、通常のサーキットとほとんど変わらない作業が可能だという好条件でもある。
2番手にはアストンマーティンで、3番手に2.51秒でステーク。前戦エミリアロマーニャGPからピットストップが向上してきたメルセデスAMGも2.55秒を記録している。しかしアンダーカットを仕掛けたマックス・フェルスタッペンに比べるとピットストップだけで0.41秒をロスしており、この時点でアンダーカットは現実的ではなかった。
今回は複数回のピットストップを行なったのがステークとアストンマーティンのみであるため、各チームの平均値を比較するのはほとんど意味がないが、ステークが平均値でもメルセデスAMGを上回る速さを記録していることは興味深い。今後はピットストップでの脱落はないと思われるだけに、中団グループの他チームとしてもさらに厳しい戦いが強いられるようになるだろう。
こちらはピット入口からピット出口までの60km/h制限区間325mの通過時間を比較したもの。ピットストップを含めたロスタイム全体の数値ということになる。ちなみに、ピットスルーに必要な時間は19秒。
左リアタイヤがバーストしているストロール以外は0.5秒ほどの幅に収まっているが、やはりフェルスタッペンが速い。
ピットロスタイムからピット静止時間を差し引いたのがこちらの数値。純粋に60km/hから減速して停車、作業を終えてから発進加速というドライバーの腕の部分を比較することができる。
ルイス・ハミルトンとバルテリ・ボッタスが最速で、フェルスタッペンは彼らから0.03秒の僅差とは言え、前述の通りスムーズにピットインしやすい場所になることを考えるとあまり良い数値とは言えない。
(text by 米家 峰起 / photo by Pirelli)
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