【予選総括】1ストップ作戦、ハードに組み合わせるのは定石ミディアムか、攻めのソフトか【戦略予想】
マイアミGP決勝は1ストップ作戦が主流になると予想されている。
マイアミ・インターナショナル・オートドロームは路面温度が高い上に低速速コーナーからの脱出が多く、リアタイヤのオーバーヒートによるグリップ低下にも気をつけなければならない。
しかしデグラデーション自体は小さく、ハードタイヤに充分1レースを走り切れるライフがあることもあって、1ストップ作戦が基本となる。
問題は、ハードと組み合わせるのを定石のミディアムにするか、ややギャンブル的なソフトにするかだ。
計算上はミディアムとハードを使った1ストップ戦略が速く、セーフティカーの出動を待つという意味でもリスクが少ない。
スタートでソフトを履いた場合でも、スプリントを見る限りでは10〜15周程度は保つと見られているが、決勝スタート時は燃料搭載量が重く、路面温度が高くなった場合にどうなるかは未知数。いずれにしても第1スティントが短くなるのならソフトで1周目のジャンプアップを狙う戦略はある。
しかしデグラデーションが小さくアンダーカットがそれほど強力に機能しないため、ソフト勢がピットインしてもミディアム勢は反応せず、オーバーカットをすることも視野に入る。ミディアム勢がステイアウトしている間にセーフティカーが入れば、ソフト勢は大きな不利を負う。そのため、デグラデーションが大きいレースに比べてソフトスタートのリスクは大きい。
ハードにどちらのタイヤを組み合わせる場合においても、ハードスタートのリバースストラテジーも充分に機能する。デグラデーションが小さく、マシンにペースがあればステイアウトしてフリーエアで走ってオーバーカット、もしくは最後にソフト化ミディアムを履いてコース上で抜いて行くことができるからだ。昨年の優勝者マックス・フェルスタッペンや角田裕毅はこの戦略でポジションを大きく上げている。
レッドブルとメルセデスAMGはFP1でハードを使わずミディアムを投入したためハードが2セット残っているが、基本的に1ストップ作戦であるためミディアムとハードが1セットあればこと足りる。ピットストップ後のセーフティカーやパンクなど特殊な状況下では、もう1セットのミディアムが何周オールドかにもよるが、新品ハードをもう1セット持っていることがアドバンテージになる可能性も僅かにある。
メルセデスAMG勢とリカルドは新品ミディアムがなく、特にリカルドはグリッド降格ペナルティもあってスプリントレースに新品ミディアムを投入したため、決勝はソフトもしくはハードスタートでギャンブルを選ぶ可能性が高い。
しかし1ストップ作戦が前提であるため、基本的には持ちタイヤによる有利・不利はほとんどないと言えるだろう。レース戦略の幅は非常に狭く、コース上での戦いが全てというレースになる。
(text by 米家 峰起 / photo by Pirelli)
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