【2023 Rd.7 MCO】角田裕毅「異常な暴言」の真実、真の問題はピットアウト直後ではなかった
モナコGP決勝終盤の角田裕毅の無線が「異常な暴言」とごく一部で揶揄されているが、チームからの無線も、角田自身の無線も、どちらも的外れな批判を受けている。どちらもテレビ放送されたのは切り取られたものであり、どのような文脈や状況の中で発されたものなのかという説明が抜け落ちているからだ。
なぜあのような無線のやりとりが行なわれたのか、解説していこう。
53周目、絶妙タイミングのピットイン決断
インターミディエイト選択の「正解」
まず52周目あたりから小雨が降り始め、角田の場合は巡航ペースの1分18秒前半からラップタイムが(ほぼ1周遅れであるため)51周目に5秒、52周目に14秒低下し、53周目には22秒低下している。
51周目、52周目の時点で角田はすでにインターミディエイトへの交換を訴えていたが、チームはラップタイムの推移を見て「ステイアウト」「もう1周ステイアウト、サバイブしろ」と指示。
53周目はメインストレートはまだドライだがターン2の先からウエットコンディションになりターン3へのアプローチは坂を登り切る手前からスローダウンしてからブレーキング、雨の降り始め地点であったターン5〜8はかなり濡れていて低速走行を強いられるコンディションになっていた。
TSU←「エントリー5(デフ設定)。コンディションは安定している? それとも悪化している?」
TSU→「悪化! 悪化している!」
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この記事、ココだけやともったいないですね〜。東スポ読んだ人みんなに見てもらいたい。何ならあの日モナコを見てた全員に読んで欲しいっすね〜
無線を追うと、角田のエンジニアがマッティア・スピニで良かったと改めて思います。
ただ、次のスペインGPもレインレースの可能性があるので、再発するかが恐いですね。
正直言って、「トラブル」ではないと思います。
モナコはハードブレーキングがないので熱が入れにくい(VERもアタックラップのT1はブレーキのウォームアップが不充分だった)、低速でブレーキが冷えにくいので冷えやすいダクトセッティングにしている、そこに雨でコンサバなブレーキングで熱が入らず、温まっていないから踏めず余計に熱が入らない。
というのが、路面の水量が減ってきた62周目あたりから他車はそこそこ詰めていけたのに対し、TSUは恐る恐るのブレーキングが続いて熱が入らない状況が続いてしまったことがこのペース差に表われていると思います(路面が濡れている間のペース=ブレーキの効きに差はそれほどない)。
予選でもアウトラップ1周で熱が入らずビルドラップを入れることにしたのも、単純に「熱が入りにくい」という「トラブル」というより「傾向」のような感じ。去年の鈴鹿予選では2台ともそうでしたが、今回もアウトラップは左右のブレーキ温度にオフセットがあるのでターン10でハードブレーキングできない(そのせいでQ2は右フロントがロックアップ)という問題もあったので、やはりトラブルというよりブレーキ周りのセッティングやマネージメントの差だと思います。ブレーキで稼ぐスタイルのTSUはDEVよりブレーキが冷えやすいセッティングになっていることも想像できますし。
今日のQ&Aにもありますが、ブレーキマテリアルの選択がコンサバだった(作動温度領域が低めなものを選ぶ傾向があった)ようですね。
凄く状況が分かりやすく皆さんが言うようにもっと出回って欲しい内容ですね。
角田選手のマシンがセッティングの関係でブレーキングで熱入れが難しかったことを考えると、例えばフルウェットで走った場合もうすこそ攻めたブレーキングが可能になり熱入れの問題が多少なりとも改善できていたって可能性はあるのでしょうか?