REGULAR【連載】

01_P4059645

 

 このメルセデスAMGのメカニックがいじっている金属の枠、いったいなんだか分かりますでしょうか? かなりがっしりとした作りの工具です。

 

 モノコックの上と下で金属の枠を固定して、下からネジでグリグリっと回して円盤状のものを上に押し上げていきます。

 

 実はこれ、フレキシブルフロアのテスト装置なんです。

 

 モノコックの下に突き出たフロア先端部(Tトレイなどと呼ばれています)には静止荷重テストが義務づけられています。フロントアクスルから380mm後方のフロアの中央部と左右2箇所に2000Nの力を下から上へ向かってかけた時に、5mm以上たわむと失格となってしまいます(2013年アブダビGP予選のキミ・ライコネンがそうでした)。

 

 なので、チームはそんなことがないようにこうして独自の装置でテストをしているんです。

 

03_P4059773

 

 この装置で円盤状のセンサーをフロアに固定し、下についているネジを回して2000Nの負荷をかけます。そしてセンサーでどれだけフロアが湾曲したかを読み取るわけです。メカニックはこれを何度か繰り返し、その都度その数値をメモしていきます。

 

 かなり精度が求められるテストですから、これだけがっしりとしたフレームが必要ですし、電子センサーで読み取るんですね。

 

04_P4192503

 

 こちらのレッドブルの写真では、マシン中央部ではなく中央線から100mm左寄りの箇所に荷重をかけているのが分かりますね。同じように右寄りの箇所にもテストを行ないます。マシン下に斜めに置かれている装置の赤いデジタル表示を読みとってメモしています。

 

05_P4182290

 

 こちらはウイリアムズ。どのチームも同じように、たいてい金曜日のフリー走行終了後、マシンをいったん解体する前に行ない、土曜日のフリー走行前にも行なっています。

 

 フレキシブルフロアの取り締まりテストは年々厳しくなっていて、2014年規定の2000Nというのは約2040kgの重量を置いた状態と同じ力ですから相当な荷重ですし、それで5mmの湾曲しか許されないというのですから、いかにフレキシブルフロアが厳しく取り締まられているかが分かります。

 

02_P4059684

 

 というのは、このフロア先端部を限りなく路面に近付けると、フロア下に入っていく気流を加速させてダウンフォースを増大できるからです。しかし路面に当たってしまうと気流が途絶えるので、路面に接しないギリギリのところにしなければなりません。ですから、気流の圧力によって微妙に湾曲して常に路面と隙間ができるようなフレキシブルなフロアを作れれば、非常に好都合だというわけです。

 

 というわけで、実は多くのチームが実際にはフレキシブルなフロアを使っているのだと某上位チーム関係者は耳打ちしてくれました。つまり彼らは、テスト規定の“誤差”として許される5mm以内のフレキシブルさを狙って作っているのです。去年、後ろ向きの車載サーモグラフィカメラの映像で、タイヤやラジエターだけでなくフロア先端部も赤くなっていたのはそのせいです。そのくらい重箱の隅を突ついて1000分の1秒でも速さを追究しているのがF1の世界なのです。

 

 ですからこの装置も、フレキシブルではないことを確認するためのテスト装置というよりも、フレキシブルさが5mm以内に収まっているかどうかを確認するためのテスト装置だと言ったほうが良いのかもしれませんね。

 

(text and photo by 米家 峰起)

 

 

 

Related Articles

Comment

  • トラックバックは利用できません。
  • コメント (1)
    • Anz
    • 2019年 11月 13日

    2000Nが2000kgておかしいでしょ
    中学生でもニュートン単位なんて今どき中学生でも分かるぞ…

コメントするためには、 ログイン してください。

Recent Post【最新の記事】

Calendar【日付で記事検索】

2020年4月
Mon Tue Wed Thu Fri Sat Sun
« Mar    
 12345
6789101112
13141516171819
20212223242526
27282930