【現地直送便】やってんなぁ

誰だって最初から完璧な仕事ができるわけではないし、私と視点やスタイルが違うというだけで、人によっては私以外の視点の方が好きだと言う人もいるでしょう。もちろん理想を言えば私もノリちゃんもTAROさんも、さらにはもっと多くのスタッフが現地に行ってバリバリお届けできるのが理想ですし、最終的にはそうなりたいと思っています。そのためにはF1LIFEを事業としてもっと大きくしていかなければなりませんし、今はまさにその第一歩を踏み出したばかりのところです。

いずれにしても、私じゃなきゃダメという再現性のない状態ではダメだと思っての決断です。私が死ねばF1LIFEが全部終わるというような不確かな状態で続けていくようではダメなんです。

F1ブームの頃から30年間、誰も次世代の後継者を育てるということをやってこなかったツケが、今確実に来ています。60代・70代の解説者しかおらず、現場は50代が中心で、アラフォーの私が一番若いと言われて早10年以上。これで10年後はどうなるんでしょう？ 伝える側も「今の生のF1」を伝えられる人がいなくなるし、10代・20代に刺さる情報を伝えられなくなって10年経てば、20代・30代のファンが少ないという状況になります。となれば、その次の子世代への継承はさらに少なくなります。

今の私世代までは、「F1バブル」を体験している世代です。しかし30代以下の人たちは「F1バブル」を体験していないし、F1の認知度は我々世代に比べて圧倒的に低い。そういう人たちがメイン層になってくれば、F1は今のF1のままではいられなくなります（少なくとも日本では）。

Netflixで新しい世代が入ってきた今、その新しい世代に刺さるF1の伝え方ができないと、次の世代はもうないかもしれません。若いF1ファン・新しいF1ファンを育てたいなら、伝える側も新しい世代を育てないといけません。しかし残念ながら、他にそういった育成をするスタンスの人や組織はないようです。「F1ブーム」で一財産築いた方々にこそ10〜20年前にやって頂きたかったのですが、私はその厳しい状況の中で歯を食いしばってここまで続けてきたからこそ次の世代にはもっとチャンスを与えたい。それが我々のためになり、F1ファン全体のためになり、さらにはF1全体のためになると思っています。

私が伝えるF1が良いと言って頂けるのは、嬉しい限りです。しかし、そればっかりでは日本のF1の未来はないのだと思っています。