【2022 Rd.10 GBR】金曜総括:コーナー最速フェラーリ、メルセデスAMGとレッドブルのペースは?
2022年7月1日、イギリスGPの金曜フリー走行が行なわれ、FP1は雨に見舞われスリックタイヤでの本格的な走行はほとんどできなかったものの、ドライコンディションとなったFP2ではフェラーリのカルロス・サインツが最速タイムを記録した。
まずその予選想定のパフォーマンスラン(ショートラン)の速さについて分析していこう。もちろん各車とも燃料搭載量やパワーユニットのモードも様々でショートランでの正確な戦力比較は難しいが、おおよその傾向は掴むことができる。
こちらがFP2のショートランでの各ミニセクターのベストを刻んだドライバーを図表にしたもの。
3つのセクターでは、セクター1と3はカルロス・サインツ、セクター2はシャルル・ルクレールが最速となっている。
ミニセクターを見て行くと、中低速コーナーではフェラーリ、ベケッツやストウといった高速コーナーでもフェラーリ、ストレート前半はメルセデスAMG、ストレートエンドはレッドブルで、レッドブルはコプスでは最速を刻んだものの全体的にストレートエンドで速いというのが基本特性となっている。
メインストレート、ウェリントンストレート、旧メインストレートでは新型サイドポッドを投入下ウイリアムズが最速。空力効率の改善を物語っているが、コーナーが速くなったわけではないことが分かる。
最高速(ターン15の140m手前計測)を比較すると、ミニセクターに表われていたようにレッドブルトウイリアムズが最速。メルセデスAMGはライバルと同等レベルだが、ストレート前半の加速は速いということになる。
フェラーリはダウンフォース付け気味のルクレールがセクター2最速、ダウンフォース削り気味のサインツがセクター1と3で最速。2台でセットアップを分けての比較データ収集だったのだろう。
ストレートで速さを見せてきたアルピーヌ勢が低迷する一方、ストレート祭遅だったマクラーレンがライバルを凌駕する速さを見せてきている。この空力効率の改善が金曜日の好走に繋がったことは間違いない。
各ドライバーの自己ベストセクタータイムを並べ、理論上の自己ベストタイムを集計したのがこちら。
5位だったルクレールが理論値では2位となり、フェラーリの最速は揺るがず。その中でも、サインツが採ったストレートで稼ぐ方向のセットアップの方が速いことが分かる。
2番手にメルセデスAMG(ハミルトン)、3番手マクラーレン(ノリス)、4番手レッドブル(フェルスタッペン)と続くが、ここは非常に僅差。ただしフェルスタッペンは新型フロアエッジ(フェラーリ風のスリット)にダメージを負っており、マシン本来の性能ではなかったとも言える。
サイドポッドを大幅変更したアルピーヌが5番手に付けているが、トップ4とのタイム差は大きい。そこに6番手アストンマーティン、7番手アルファロメオも僅差で続き、大幅アップデートのウイリアムズが8番手、ハースが9番手で、なんとアルファタウリは最後尾10番手のマシンとなっている。
FP2ではロングランに対するアプローチがチームによって大きく分かれた。
通常と同じように入念なロングランを行なったチームもあれば、FP1が雨で流れたぶんFP2ではショートランを中心にセットアップの煮詰め作業に重点を置きロングランを最小限に留めたチーム、そしてアルピーヌ、アストンマーティンに至ってはロングランは行なわなかった。
シルバーストンはピットレーンが長いものの最終シケインをカットするかたちになるためピットロスが19秒と短く、コース上での追い抜きも比較的容易であるため2ストップ作戦が中心になる。であれば、ロングランはそれほど重要にならないという判断だろう。
ペースを見ればレッドブルとフェラーリはほぼ同等で、メルセデスAMGも僅差で続く。ミディアム同士で言えばハミルトンはルクレールより僅かに遅く、ハードタイヤのラッセルは3周目までペースが上がらないものの4周目以降は充分なペースを刻んでいる。
マクラーレンは中団グループの中で速さもさることながらデグラデーションの良さも光る。
アルファタウリはパフォーマンスランとは違い最下位ではないものの、ロングランのペースも中団上位を狙えるほどの速さはない。
(text by 米家 峰起 / photo by Pirelli)
バーレーンとスペインでは、レースタイヤとしてC1の出番はほぼありませんでしたけど、今回はレースで使いそうですね。
ハミルトンもラッセルも、シルバーストーンを走る前からコプスでの挙動を気にしてましたけど、アタックラップとレースペース共に、かなりの改善がありそうです。