REPORT【報道】

20140415-01

 

 開幕前のテストから出遅れ、3戦が終わってもいまだに低迷が続いているロータスの問題点はどこにあるのか? ロマン・グロージャンの担当レースエンジニアである小松礼雄エンジニアは、自分たちが置かれている状況に何度も苦笑いを浮かべながらも、独特の歯に衣着せない言い回しで自チームのことや今の苦悩を語ってもらった。

 

ーー相変わらずバーレーンGPも苦しいレースでしたね。

「(苦笑いで)何も問題なくスムーズに戦って16位っていうのが今の実力なわけです。(バーレーンGP後の)2日間のテストでやれることも限られてるし、何かをドラスティックに変えていかないと大変ですね」

 

ーーバーレーンのサーキット特性のせいもあった?

「そういうこともちょっとはあるだろうけど、他のルノーユーザーと比べても、レッドブルなんかとは勝負になってないわけじゃないですか? トロロッソに比べても予選で負けてるし、レースだって基本的にまだ勝ってないわけだから。それ(サーキット特性)は言い訳にはならないですよね」

 

ーー予選よりもレースペースは良かったですよね?

「それはちょっとあるかもしれないですね。でもまだちゃんと分かってないんですよ、正直」

 

ーー予選でのフルパワーがまだ上手く使えていないということではない?

「トロロッソもレッドブルも同じパワーユニットだし、彼らと比べてもウチもそこまでリカバリーが悪いわけじゃないから。メルボルンの頃はそうだったけど、マレーシアからはそのへんが改善されたから、今まではそれも言い訳になってたけど今はもうならないですよ(苦笑)」

 

ーー去年までとはレース週末の戦い方が違う?

「問題がいろいろあるから、今までは(ベースセットアップの状態で)ちょっと走って確認したらクルマはまぁまぁ良くて、あとはセットアップをタイヤとトラックコンディションに合わせてファインチューニングするっていうことができていたけど、今はそんな段階じゃないんです。

 今週末は(金曜から)トラブルなくそれなりに走れたけど、結構いろんなことを変えましたから。去年までだったら絶対にしなかったようなことまでしました。予選前に大きく変えたり。っていうのは、FP-3を見てもらえば分かるけど、FP-3で20位とかでしょ? あんなもんでファインチューニングなんかしてもしょうがないから、(やっていることは)それこそテストセッションの延長ですよ」

 

ーーそれはパワーユニットのせい? それとも空力面も変わったから?

「両方ですね。しかも冬の間に全然走れなかったから。テストの間にいろんなことがクリアにできなかったから、今頃になってようやく分かり始めてきたという感じです」

 

20140415-02

 

ーー他チームとの差は車体側の差だと言っても良い?

「車体側の差が大きいと僕は思いますけどね。トロロッソと比べてウチらのパワーユニットの使い方がそこまで悪いわけじゃないというのが僕の理解なんで。差があるかどうかは、僕らはルノーのエンジニアの言うことを信じるしかないんで、あっちに聞いてください。そしたら『みんな同じだ』って言うに決まってますけど(笑)」

 

ーー燃費は特に問題はない?

「それは一番大きな問題じゃないですね。全然悪くないし、今回のレースでもそうでしたね」

 

ーーオフのテスト1回分(ヘレス不参加)の差が、これだけ尾を引いているのはなぜ?

「う〜ん、まぁ……そうですね(苦笑)。やっぱり冬の間に全然走れなかったっていうのが大きかったんですよね。バーレーンの2回のテストでもほとんど走れなかったじゃないですか? そういう意味で、メルボルンに行く段階では何にも分かってなかったんです。メルボルンに行く前にレースシミュレーションもしてないし、予選シミュレーションもしてないし、メルボルンで2台ともFP-1を走れないし、っていうような状況だったから……。まぁ、いろんな悪いことが重なりましたよね(苦笑)。(大幅規定変更で)一番大変な時に一番悪いことが重なったんですよ、ホントに」

 

ーー今年は夜にランニングとかフットサルをやる余裕はない?

「もう疲れちゃって(苦笑)。メルボルンは徹夜もしましたしね、水曜日は全くの徹夜で、金曜日は1時間だけ寝て、みたいな。昔バーレーンのテストで3日連続徹夜みたいなのはあったけど、グランプリ期間中でそんなのは初めてでしたね」

 

ーーレース中にチーム側とルノー側の指示が混在すると思うんですけど、それはどうやってドライバーに伝えていますか?

「直接の指示は全て僕が出してます。僕はまとめ役みたいなもんで、(チームの)コントロールエンジニアからも指示がいっぱいくるし、パフォーマンスエンジニアからもいっぱいくるし、エンジン側のエンジニアからもいっぱいくるし、そういうのを全部まとめて伝えるのが僕の役割ですね」

 

ーースロットルやブレーキの扱い方とか?

「それは前からやってるしやってることは同じだけど、センシティビティ(繊細さ)が求められるんですね。やることがいっぱいあるのは事実ですけどね。要は、去年まではエンジンなんか“付いてるだけ”っていう感じで、当たり前に使えてたわけですよね。来る指示といったらせいぜい燃費くらいのもので。それが今年はもう違うから。ブレーキングの特性にしてもパワーユニットが全部に関わるわけですから。だからミーティングも長くかかっちゃうんですよね、問題点だらけだから(苦笑)」

 

ーードライバーも頭を使わなきゃならない?

「ターボエンジンだから今までとは特性が違うので、そういう意味ではドライビングを変えなきゃいけないだろうし、燃料セーブをしなきゃいけないとタイヤの温度とかブレーキの温度が変わるから、頭脳を使ってそこらへんのアジャストができるドライバーが強いと思います。そういう意味ではロマン(・グロージャン)は全然悪いと思いませんよ。パストール(・マルドナド)の方が苦労しているし、ロマンの方がレースペースが良いのはそういうところに理由があるんだと思います。そういうことは去年からやってましたしね、燃料セーブだとかっていうのは」

 

20140415-03

 

ーーエンジニアとしては、こういうレースはやっていてツラいですか?

「いちエンジニアとしてはやりがいがあって良いですよ。でもレースをしなきゃいけない、そして結果を出さなきゃいけないというところからすると、ウチらは最悪ですけどね(苦笑)。これがエンジニアのリサーチプロジェクトだったら面白いと思うし、そういう意味ではやってて面白いですよ。新しいチャレンジだし、全く違う観点からものを見なきゃいけなかったり、新しいことを勉強しなきゃいけなかったり。そういう面ではすごく面白いけど、僕らは結果を出さなきゃいけないですからね(苦笑)」

 

ーー去年後半あれだけレッドブルと戦っていたのに比べると、小松さんとしてもまだレースをしている感じはしないですか?

「う〜んまぁ、いや、そんなことないですよ。まぁ(ダニール・)クビャトにも勝ててないけどね(苦笑)。でもしょうがないですよね、それが今の実力だから。一歩一歩進まないと。とりあえずトロロッソに勝ってから次のことを考えると」

 

ーーこんな下の方で戦うのも久しぶりですよね?

「そうですね(苦笑)。でもこういう悪い時こそ次に繋がる何かを学べるかもしれないし、どうにかしないと。

 でもね、優勝しても20位でもやらなきゃいけない仕事の量は同じですから。マルシアの仕事の方がメルセデスAMGよりも少ないわけではないですから。僕らは時間があるだけ懸命に仕事をしていますよ」

 

(text by 米家 峰起 / photo by 米家 峰起, Lotus)

 

 

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Comment

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  • コメント (1)
    • mitsunishira
    • 2014年 4月 16日

    とても面白い記事でした!
    今週末も、楽しみにしています!

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