REPORT【報道】

01_P7251507

 

 レース中やセッション中にチーム代表やエンジニアたちがピットウォールでモニターを見詰めつつ無線で指示を送ったりいった姿は格好良く見えるものですが、実は最近ではエンジニアたちは必ずしもピットウォールにいるわけではありません。

 

 ではどこにいるのかというと、ピットガレージの中です。戦略上の相談や瞬時の判断が要求されることもあるレース中はともかく、フリー走行の間はデータのチェックやドライバ−、メカニックたちとのコミュニケーションの方が重要だったりするからです。

 

 そんなエンジニアたちの作業場所をご紹介しましょう。

 

 まず有名なのはマクラーレンですね。ピットガレージのど真ん中、2台のマシンの間に大きなデスクを設置していて、“アイランド型”と呼ばれたりしているようです。アイランドは島、つまり日本のオフィスなどでデスクのかたまりを“シマ”と呼ぶのと同じ感覚ですね。

 

02_P7251524

 

 左右にそれぞれのドライバーの担当レースエンジニアとパフォーマンスエンジニアが並びます。マクラーレンの場合、2台ともにデータを見る今井さんやピルビームらは後方に位置しています。

 

03_P7251508

 

 デスクの上には各個人用の据え置きモニターが設置されていて、その下にはドライバーだけでなくバックヤードにいるいろんなエンジニアたちと会話するためのインターコム装置。そしてデスクの上には各個人のラップトップPCを持っていって接続して使用しています。

 

03_P7251637

 

 一方、同じくアイランド型を採用しているロータスは、もう少し簡素な作り。ただの工具箱の上にモニターとインターコム装置を取り付けただけというシンプルさで、ある意味でチーム状況がハッキリ表われていると言えるでしょう。

 

04_P7251882

 

 小松さんは2つのモニターのうち片方に映像、もう片方にはタイミングモニターと様々なテレメトリーデータを並べて表示しています。それに加えて自分のラップトップPCも使用していますね。

 

05_P7251879

 

 一方、小松さんと向かい合っているマルドナド担当のマーク・スレードは、タイミングモニターとGPS(コース上のどこに誰が走っているかを表示する画面)を主に表示していますね。テレメトリーデータはおそらく自分のコンピュータ上に表示しているのでしょう。これはフリー走行のスタイルなので決勝では違うのかもしれませんが、それぞれに重視するものが違っていて面白いですね。

 

06_P7251662

 

 ちなみに、ガレージの隅にはルノーのエンジニア用の作業スペースもあります。向かい合うように2人のエンジニアが並んでいます。

 

07_P7251670

 

 フェラーリは意外とシンプルというか、あまりデザインされていないかたち。

 

 左右にそれぞれの担当エンジニアが座るのは同じですが、フェラーリの場合はレースエンジニアはピットウォールに常駐しているスタイルです。

 

09_P7251685

 

 後方には上下左右に4つのモニターが観音開き状に広がっていて、3人のエンジニアがここでデータをチェックしています。

 

10_P7251692

 

 アイランドの後方にはシェルの給油機が置かれていて、浜島エンジニアやマティアッチ代表はここにいることが多いです。そのすぐ後ろはVIPゲスト用の観覧エリアです。

 

11_P7251538

 

 最近何かと設備投資に一生懸命なウイリアムズも、しっかりとアイランド型になっています。

 

12_P7251542

 

 こちらは上下にモニターが2枚ずつと、その間にインターコム装置。向かって右側の中央に立っている女性はエンジニアではなく、広報部門のソフィです。

 

13_P7251546

 

 上下のモニターにはそれぞれ少し角度が付いていて、立ったままでも見やすそうです。ウイリアムズは自分のラップトップPCを持ち運ぶのではなく、コンピュータもこのアイランドに埋め込まれているようですね。デスクの上にはキーボードとマウスが見えます。

 

14_P7251532

 

 トロロッソも実は早くからアイランド型を採り入れていました。デザインもこなれていて美しいですね。

 

 構成は一般的なもので、モニターが3台とインターコム装置が2台、そこにラップトップPCを3台持ち込んで設置というかたち。

 

15_P7251584

 

 やはりいずれも上のモニターは映像やタイミング、GPSなどの表示に使っていて、ロガーデータは自分のコンピュータの画面上で確認しています。

 

16_P7251598

 

 フォースインディアは今年のスペインGPからアイランド型を少しだけ採り入れて、タイヤエンジニアの松崎さんらが作業するスペースを中央に設置してきました。松崎さんも2台両方をチェックするのに便利だとご満悦です。

 

17_P7251603

 

 しかし各マシン担当エンジニアたちはそれぞれ左右の壁面に設置されたスペースを引き続き利用しています。

 

19_P725158718_P7251593

 

 ザウバーも中央にアイランド型の作業台を置いてはあるものの、壁面の作業スペースも継続利用。これらのチームはセミアイランド型とでも呼べば良いんでしょうか。そういえば以前、小林可夢偉もこの中央部分でフランチェスコ・ネンチとよく話し合っていましたね。そこにセルジオ・ペレスやエステバン・グティエレスが加わってみんなで話し合い、なんていう場面も時々ありました。

 

 ところでこのアイランド型、ものすごく流行っているように思えますが、実はトップ2チームは採用していなかったりします。そもそもがガレージ内で空いたスペースの有効活用ということで生み出されたアイランド型デスクですが、レッドブルやメルセデスAMGはここに巨大な給油機を設置しているので(トップチームは給油だけでなく燃料タンクから抜き出すのもホースに圧力をかけて高速で作業できる装置を使用しているので大がかりな装置になるのです)、有効活用する必要性があまりなかったんですね。

 

20_P7251780

 

 レッドブルは今年からガレージのレイアウトデザインを一新しましたが、エンジニアの作業エリアは相変わらずガレージの壁面に。ただし、かなりカッチリとデザインされていて、巨大なモニターが2枚(うち中央の1枚は6分割に)と、一番奥のパフォーマンスエンジニアの前にはコンピュータ用のモニターが4枚。そして欠くエンジニアが個人のラップトップPCを持ち込み、デスクの下にはインターコム装置が埋め込まれているといったぐあい。

 

21_P725173622_P7251761

 

 メルセデスAMGも左右の壁面にエンジニアの作業エリアを設けていて、モニターが計6枚と、ラップトップPCを置くためのデスクが用意されています。

 

23_P7251568

 

 マルシアもこんな感じ。こちらは中段に小さなモニターが2つ並んでいます。

 

24_P7251567

 

 ケータハムはレースエンジニアはピットウォールで作業して、パフォーマンスエンジニアとルノーのエンジニアの作業エリアが壁面のところに1人ずつ向かい合うサイズで用意されているのみ。しかしデスクの上にはモニターとインターコム装置が埋め込まれています。

 

 といったように、各チームのエンジニアたちがどのような環境で仕事をしているのか、お楽しみ頂けたでしょうか。フリー走行の中継でも彼らがこんなところから無線交信をしているとか、日本人エンジニアたちがこんなふうにチームの中枢で仕事をしているというのを知れば、よりリアルにイメージしやすくなりF1がより楽しめるのではないでしょうか。

 

(text and photo by 米家 峰起)

 

 

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

Related Articles

Comment

  • トラックバックは利用できません。
  • コメント (0)
  1. コメントはありません。

コメントするためには、 ログイン してください。

Recent Post【最新の記事】

Calendar【日付で記事検索】

2018年1月
Mon Tue Wed Thu Fri Sat Sun
« 12月    
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
293031