REGULAR【連載】

20170606-01

 

 モナコGPにおけるホンダのMGU-Hトラブルの原因がいまだ究明できず、という記事が某パクリサイトに出ているようですが(彼らのPV稼ぎに荷担したくないのであえてリンクは貼りません)、これは全く信用度ゼロの記事です。

 

 というのも、これはF1関連メディア全体が抱える問題なのですが、取材というのは基本的にグランプリ期間中にしかできなくて、次のグランプリまでのインターバルの間は前のグランプリ週末で拾ったネタで凌いでいるものなのです。つまり、この記事で「いまだに」としている「今」は、最大でもモナコGP決勝後の取材機会の瞬間でしかないのです。

 

 木曜日の走行後に問題が見つかった(といっても完全に壊れたわけではなく回転に渋りがあったのでベアリング不調が疑われる、ということでしたが)MGU-Hが、そこから取り外されてHRD Sakuraに送り返されて、それを開封して分析して……という作業を考えれば、日曜日に結果が分かっているわけがないんです。場合によってはまだ到着すらしていないかも。

 

 そもそも、普通にMGU-Hを分解してしまったら封印が壊れてその時点でそのコンポーネントは“終了”ですから、メンテナンス可能部品の範囲で問題の分析や部品交換が可能なのかどうかをまずは判断しなければなりません。オイルラインに金属片や異物が入っていないかとかX線検査とか色んなチェックをして原因箇所をある程度把握してからでないと究明作業は出来ませんし、返ってきたからといってすぐにバラバラにして原因解明ができるようなものではないわけです。

 

 過去にトラブルが起きたコンポーネントも、ものによっては少し修理するだけで使えるのに、封印されているせいで全てダメになってしまうとか、トラブルの発見と対策が遅れるとか、はっきり言ってトークン制云々よりも基数制限の方がよほど自由な開発を阻害しているし、コスト抑制にもなっていないというわけです。

 

 随分と話が横道に逸れてしまいましたが、グランプリとグランプリの間のニュースというのは、前述の通り基本的に前のグランプリ週末に取材したネタで構成されていますし、現場の取材者たちはそのために“1週間分”の“それほど時事的ではない”ネタを拾い集めているんです。

 

 逆に言えば、グランプリとグランプリの間に取材してから何日も経ってから「いまだに」とかいう記事を書くのはNGなわけです。

 

 某パクリサイトがどこからパクったのか、彼らはパクリ元も明示しませんからそれすら分かりませんが、パクリ元の記事はもっともっと以前、モナコGPの翌日くらいに出たものだったんじゃないでしょうか。

 

 その瞬間は確かに事実だったのでしょうが、2〜3日も経てばそれは事実ではなくなっているなんていうことは、進化のスピードの速いF1界ではザラです。だからこそ、報じる側の人間も時事的なことや時系列には敏感にならなければなりませんし、自分の知り得た事実が今も正しいのかどうか、常にアップデートしていかなければならないのです。

 

 ちなみにモナコGPの決勝後に長谷川さんの元に取材に来ていた外国人記者は2人のみ。写真奥のAutosportのローレンスは、カナダGPへのアップデート投入が非常にタイトだ、という記事を書いていましたが、そのネタ元のコメントはここで取ったものでしょう。

 

 昨日紹介したルイス・ハミルトンの記事もそうですが、中には信用に足らない記事もたくさんあるということを理解した上でメディアに触れなければならないと思います。まぁ某パクリサイトは“メディア”ではないし、ただの個人ブログだと思って頂きたいですけどね……。

 

(text and photo by 米家 峰起)

 

 

 

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