REGULAR【連載】

20150910-01

 

 先日、ある雑誌のF1特集の中で「昔のF1は何が面白かったのか? 今のF1は何が面白くなくなったのか?」という対談をやりました。世間ではF1が面白くなくなったと言われていますから、当然その対談でもそういう話になりました。

 

 「今のF1の魅力って何ですか?」と聞かれて、正直言って僕は即答できませんでした。

 

 でも、いつも現場で取材をしている僕としては、今も昔も変わらずF1はF1だし、今も面白いんです。昔も面白かったけど、新しもの好きな僕としては今の方が面白い。なんだかんだ言ったってF1はモータースポーツの最高峰だし、他のどのカテゴリーと較べてもダントツで技術も物量もトップだし、クオリティ感が高いし、何よりも最先端で常に新しいものを生み出していこうというエネルギーに満ちています。グランプリの現場にいてしみじみと「スゴいなぁ」と感じるのは、そのエネルギーのダイナミックさです。

 

 ひとつ昔と違うとしたら、レギュレーションやF1を構成する要素が複雑になりすぎて、そのダイナミックさが簡単には伝わりにくくなっていることかもしれません。

 

 ハッキリ言って、昔のレースはハイライトで見るから見どころが多いだけで、ノートカットで見ると今のレースよりも間延びしているしずっと見続けるのはキツいですよ。1988年に限らず、トップチームと中団チームの差が予選でも2秒とか5秒とか、ザラにあったわけですし。

 

 だけど要素がシンプルだから、ドライバー同士の駆け引きとか、チーム同士の争いなんていうのが分かりやすかったんですね。それに、何かが起こればそのいくつかしかない要素がガラッと入れ替わって、レイトンハウスがトップ快走とかミナルディがフロントロウになんてことも起こりうるわけで。

 

 今だって最前線で戦っている人たちは必死にやっているし、そこにはドラマもあります。だけど、それが複雑過ぎて伝わりにくくなってしまっています。伝える側の我々メディアの中にも、その複雑さをほとんど理解しないまま、昔のシンプルだった時代と同じように伝えようとするから「今はつまらない」ということになってしまうケースが多々あります。

 

 現場のエンジニアたちは揃って「F1はツマラなくなったと言われるけど、我々がやっていることは技術的にスゴいことなんだ。だからそのスゴさを伝えてもらえば魅力は伝わるはずなのに……」と言います。もちろん、チーム側も自分たちの速さの秘密であるそのスゴさを簡単には明かせないから、余計に面白さが伝わりにくくなっているという面もあります。

 

 ただ、タイヤがどうだとかパワーユニットがどうだとか難しいことを知らないと面白さが分からないという面もある今のF1ですが、そんな理屈を全て取っ払って見ても充分に面白いと思うんですよね。F1公式アプリやピットレーンチャネルで流れている無線とかを聞きながら見れば、そこで戦っている人たちの人間味も充分に伝わってくるし。

 

 あとは、現場にいると世界各地を転戦するというF1のエンターテインメントとしての魅力も感じます。この点は以前と比べても格段に進歩していると思います。純粋にレースだけを楽しむヨーロッパのグランプリが低迷している反面、シンガポールやアブダビなどレース以外のバカンスも合わせて楽しむことができるグランプリの人気が高まっていることを見ても、世界的にこの傾向は強いように思います。

 

 『F1LIFE』では、僕が現場で感じたそんな今のF1の面白さをお伝えしようとしていますが、どうしてもお伝えし切れていないこともまた事実です。現場での取材、執筆の時間はどうしても限られているので、どれだけ睡眠時間を削っても限界があるのですが、もっともっと努力していきたいと思います。

 

(text and photo by 米家 峰起)

 

 

 

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